
家事代行を上手に活用するために知っておきたいコツを聞いてみた。和田さんは「事前に要望をしっかり伝えてほしい」と強調する。「例えば料理代行でも、毎日食べて飽きない総菜を作ってほしい人もいれば、料理の専門家だからこその特別な一皿を求める人もいる。事前の打ち合わせ段階でしっかりとコミュニケーションを取り、遠慮せずに要望を伝えるのが大事だ」
そうはいっても、慣れないうちは時間内で何をどこまで依頼できるのか見当がつかない場合があるだろう。和田さんは依頼したい内容を書き出してリストにし、優先順位を付けておくよう勧める。「リストを手元に置いてやりとりしているうちに、望む内容がさらに明確になっていく。依頼先の反応をみて、説明を聞いていれば、時間内にできる範囲もおのずと分かる」
ハウスキーパーや家事代行スタッフを家に迎える準備が大変だという声も聞かれる。ただ「おそうじ本舗」の家事代行サービスを担当する大友稔さんは「家事代行を呼ぶために部屋をきれいにしたり、必要な道具をまとめてそろえておいたりしてくれる人もいるが、原則として不要。スタッフも気にしない。準備に費やす時間は別のことに使ってほしい」と助言する。
家事をしている間は任せきりにしてかまわない。在宅勤務中にキッチンを掃除しておいてもらうなど、時間を有効活用したい。大友さんは「必要なときに必要な分だけオーダーメードで依頼できるのが家事代行の利点。例えば掃除のプロの手が入れば、日々の掃除も楽になる」と語る。
コロナ感染対策も念のため確認しておこう。業者やハウスキーパーはそれぞれ体調に気を配るほか、日々の対策内容をサイトで見られるようにしているところもある。
徐々に身近になってきた家事代行。うまく取り入れれば心身に余裕もでき、生活がより豊かになりそうだ。
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掃除や料理のコツ 学ぶ機会に

家事代行サービスを頼み、訪れたハウスキーパーやスタッフから掃除や料理のコツを学ぶ人も多い。おそうじ本舗の大友さんは「家具や家電を買い替えるに当たって、掃除のしやすい素材や機種選びについてスタッフが助言を求められることがある」と語る。
タスカジの和田さんは「レシピをメモしたり、洗剤の選び方や収納方法について助言を求めたりする人が多い」と明かす。こうしたニーズに応えるため、家事のコツをオンラインで学べるプログラムを不定期で開く。家事スキル向上のきっかけにもなっている。
(ライター 李 香)
[NIKKEI プラス1 2022年9月3日付]