棚村教授らが昨年、全国の60歳未満の成人男女7千人を対象に選択的夫婦別姓について意識調査を行ったところ「賛成」の割合が70・6%にのぼった。

「自らが別姓を選ぶかはともかく、他人が選択できるこを許容する意見は増えている。女性は20~50代まで全年代で『反対』が10%未満と低かった。別姓を選べず結婚を諦めたり事実婚をしたりするカップルもおり、男性にとっても大きな問題だ」

別姓にすると家族の一体感が失われる、子どもがいじめられるという反対派の意見には反論する。

「同姓を選んでも通称を使えば仕事等への支障は少なくなるという意見もあるが、選択的夫婦別姓は単に個人や夫婦間の話ではない。法律で同姓を義務付けているのは先進国では日本だけだ。諸外国でも別姓が子どもにとって大きな問題となったことはない。男女平等や多様性を尊重する社会を実現し、それを世界に示すための試金石になる」

子育て促す空気づくりを みらい子育て全国ネットワーク代表・天野妙氏

岸田氏は政策集に「子育て世帯の住居費、教育費の支援」を盛り込み、子育て世代への配慮を打ち出した。
みらい子育て全国ネットワーク代表・天野妙氏

「子育て支援の充実を行政や政治に訴える市民団体の代表を務め、生の声を集めている。住居費は都市部では大きな割合を占めるので支援があればありがたいが、財源には限りがあるだろう。もう少し優先度の高い政策があるのでは。私たちの団体が子育て世代に聞いた調査では、費用負担が最も重いと感じているのは大学・専門学校で78%。高等教育部分に焦点をあてた政策の効果が高いと考えている」

「子どもを望む人が望む数の子どもを持てるよう、社会の空気を一新する必要がある。『子どもを持つことはお得』『子育てはそこまで大変じゃない』というところまで認識が変わらないと、子どもを多く持とうとはならない。岸田氏には重層的な多子世帯支援などを通じ、子育てのイメージをがらっと変える大胆な政策を期待したい」

経済協力開発機構(OECD)のデータ(2017年)によると、日本は児童手当や保育サービスなどの家族関係社会支出は国内総生産(GDP)比1・58%で、英国(3・23%)やフランス(2・88%)の約半分の水準だ。岸田氏は子育て政策を一元的に扱うこども庁の早期設置については「賛成」で「子育て予算を倍増する」との立場を示した。

「子育て支援を強化するため、ほかの先進国並みに予算を引き上げるのは必須だ。こども庁創設と同時に取り組んでほしい政策は山のようにある。男性の家庭進出に向けては、育児休業などを理由に男性に嫌がらせをするパタニティーハラスメントへの対策が必要。児童虐待や子どもの性被害をなくすには、大人も対象に人権や性について教育することが欠かせない」

女性活躍エディター 天野由輝子、砂山絵理子が担当しました。

[日本経済新聞朝刊2021年10月4日付]