規模拡大でひずみ 転機に

――ともに活動するメンバーが増えていますね。

「14年の独立当初は学習支援拠点が都内に1カ所だけでした。現在は19カ所に増え、子どもの居場所も7カ所できました。利用者が年々増え、延べ1万人近い子どもに関わることができました」

「事業予算やメンバーの数からしても、活動規模は急激に拡大しました。寄付金などを含む経常収益は20年度が3億3千万円と、過去5年で6倍以上に増えています。当初は数人で始めましたが、活動の拡大に合わせて採用も増やしてきました。有給職員は約50人、ボランティアが常時100人ほどいます」

学生時代からボランティアで子どもの学習支援活動に携わっていた(2012年撮影)

――規模拡大による運営の難しさ、チームワークの問題は生じませんでしたか。

「ひずみは数多くありました。そもそも発足直後から大変でした。私は当時、大学院を休学中の身。学習支援活動の経験は積んでいたと思いますが、経営管理の経験はゼロ。設立メンバーは同世代でしたし、学生組織でした」

「ヒト・モノ・カネが圧倒的に足りないのに、自分たちの頑張りで支援の質を高めようと躍起でした。死の谷を越えてこそ安定成長するからと120%の力で頑張るようメンバーを励まし、私も睡眠を削りながら働きました」

「次第にメンバーと私は対立するようになりました。『僕たちの犠牲と引き換えに子どもを幸せにしても、長続きしない』と再三言われ、私は反発しました。体調を崩す人、別会社に就職する人が出てきて、これでは組織が続かないとようやく気付きました」

――どう克服しましたか。

「自分を振り返る時間を取りました。冷静になると、私のこだわりを押し付けていたのではと感じ、まずは現場の皆の話を聞こうと態度を改めました。個々にただ熱意と時間をかけるのではなく、皆がうまく連携して支援の質や効率を高められないか。私がプレーヤーからリーダーに変わるプロセスでした」

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原点は子どものニーズ