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社会課題解決を目指す若手起業家の一人として注目される李炯植(り・ひょんしぎ)さん(31)。学生時代にボランティアで学習支援を始め、子どもの貧困問題を何とかしたいとNPO法人「Learning for All」(ラーニング・フォー・オール、LFA)を設立した。現場のプレーヤーから組織のリーダーへ。立場が変わる中で葛藤を抱えていたと明かす。

――主にどのような活動に取り組んでいるのですか。

「家計が苦しくて塾に通えないといった子どもが無料で行ける場づくりです。主に学校やソーシャルワーカーの紹介で訪れた小学生から高校生までを対象に、学校や公民館で大学生の講師が勉強を教えています。生まれ育った環境からチャンスがないと感じている子どもに学習できる場を用意し、あなたはできるよと期待の言葉をかけています」

――社会課題に向き合うリーダーにはどんなことが求められていると感じますか。

「どんな社会をつくりたいのか。ビジョンを持ち、具体的なイメージを語ることだと思っています。課題に直面して悩み、苦しんでいる人たちに寄り添い、その思いを代弁する必要があります」

「もう一つが学習者であることです。私自身、学び続ける姿勢を意識しています。社会状況は刻々と変わります。新型コロナウイルス禍のような非常事態では思い描いていたような活動ができなくなるかもしれません。それでもビジョンをしっかり持ち、それに基づいて事業を日々変化させていくべきだと考えます」

――活動に関わるきっかけを教えてください。

「生活に困る子どもの多い地域に育ちました。私の家庭も余裕はなかったのですが、小学校の担任の先生の勧めもあって大学を目指せました。ただ進学するとなおさら、幼なじみや私と周囲の環境の差に驚き、何かできないかと考えました。教育支援団体に加わり、14年に独立。低所得世帯の子どもの学習支援に特化したLFAをつくりました」

ラーニング・フォー・オール代表理事 李炯植氏

ラーニング・フォー・オール代表理事 李炯植氏

「学習支援が教育格差を断ち切ると信じています。しかし想像した以上に問題は深刻でした。給食がない夏休み明けに痩せた子がいる。親のサポートが必要だ。仲間からこうした声が挙がり、最長で夜8時までの子どもの居場所、不登校でも気軽に出入りできる場所、子ども食堂、保護者の相談窓口を設けました」

「子どもに何が必要か考えるうち、活動はさらに広がりました。例えば私たちが地域協働型子ども包括支援と呼ぶ仕組みです。児童虐待や大人に代わって日常的に家族の介護・世話をするヤングケアラーを見逃さず、できるだけ早く子どもと必要な支援のできるところを結び付けます。このノウハウを全国に広げようと動いています」

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