360度の景色をパシャ! 全天球カメラで新世界
撮影画像をその場で楽しめる
昨年10月にリコーイメージングが発売した全天球カメラ「THETA(シータ)」(税込み4万3740円)。ファインダーがなく、見た目はICレコーダーのよう。手のひらサイズで、重量も95グラムと軽い。機能の売りは1回シャッターを押せば、撮影する人を取り巻く上下左右360度のあらゆる景色が1枚に収められることだ。
撮影した画像はWi-Fi接続で、瞬時にスマートフォン(スマホ)のアプリに転送され、その場で楽しめる。ピントや露出、傾きなども自動補正。構図を考えることなく誰でも簡単に撮影できる。
この夏、シータの視野を体感できるビアガーデンが話題に。東京・渋谷の「一番搾りガーデン」には6つのテーブルにシータが用意されている。
7月上旬、テニスサークルの仲間6人と訪れた大学生、戸田隆さん(20)がシータのシャッターを押すと「ピヨン♪」というかわいいシャッター音。専用装置の画面に映し出されたQRコードを読み込むと、アプリで画像をその場で確認できる。
最初に映し出されたのは魚眼レンズで撮影された丸い映像。画像をタップして指で左右に動かすと、乾杯している7人全員の笑顔が。スマホをのぞきながら「すごい、初めて見る!」と歓声が上がる。さらに画像を上下に動かすと青空が広がる様子も。戸田さんは「今までだと一面しか撮れないのに1枚で360度全員を写せる。驚き!」。
企画したキリンのデジタルマーケティング室の土谷友理恵さんは「誰一人仲間外れなく、乾杯の瞬間を1枚の写真に収められるので盛り上がる」とシータの魅力を話す。
全天球の視点にとりつかれたプロの「全天球カメラマン」も。写真家、宇佐見健さん(47)は「バスケットボールのゴールネットや満開の桜の花びらの中に頭を突っ込んだらどんな視点なのか、妖精や虫の目をバーチャルに楽しめる。自分の想像通りでも、かけ離れていても楽しい」とシータの魅力を語る。
宇宙飛行士の目線で地球を見るシアター
一方、今月8日には宇宙飛行士の目線を体験できる施設が登場。東京ドームが運営する宇宙ミュージアム「TeNQ(テンキュー)」(東京・文京)だ。目玉は床にぽっかりと空いた直径11メートルの円形のスクリーンを備えた「シアター宙(ソラ)」。1.5メートル下の足元まで広がるスクリーンをのぞく形で映像を眺める。
まず米ハワイ島から見上げた映像からスタート。次第に映像の目線が地上からどんどん上昇し、太陽や月、水星、金星など太陽系の惑星が順番に並んだ映像で目線が徐々に切り替わる。映像は高精細画像のため、臨場感たっぷり。東京・新宿から母親と訪れた藤津豪くん(6)は「自分は動いていないのに、体が浮かんで動く感じだった」と興奮気味だった。
ハイライトは国際宇宙ステーションから撮影した映像。地球の青い海に浮かぶアメリカ大陸やアラビア半島、日本列島が次々に足の下に広がると、宙に浮いているような気分になる。東京・江戸川の村松公子さん(65)は「まるで宇宙の遠いところで乗り物に乗って地球を眺めている感覚」と驚いていた。この夏、新しい視点から日常を見つめ直す旅に出てみてはいかが。(鎌田倫子)
[日経MJ2014年7月16日掲載]
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