アート&レビュー

音楽レビュー

NHK交響楽団「ミュージック・トゥモロー2014」 「ユートピア」追い求める 日本の現代音楽の今

2014/7/8

日本の現代音楽は今、どんな音を鳴り響かせるのか。権代敦彦(48)、細川俊夫(58)、猿谷紀郎(53)という日本を代表する旬の作曲家3人の近作を一夜で聴く演奏会が開かれた。NHK交響楽団による「ミュージック・トゥモロー2014」だ。世界的評価を受ける日本の現代音楽の最前線を聴いた。

作曲家の権代敦彦(中)と指揮者の高関健(右)(6月27日、東京オペラシティコンサートホール)=写真提供 NHK交響楽団

6月27日、東京都新宿区の東京オペラシティコンサートホール。様々な打楽器群が取り巻く大編成のN響が舞台に構える。「ミュージック・トゥモロー2014」では、N響が委嘱した作品と、権威ある作曲賞「尾高賞」を今年受賞した作品を演奏する。「尾高賞」はN響の専任指揮者で作曲家だった尾高尚忠(1911~1951年)の遺志によって創設された。これに伴い52年に「ミュージック・イン・フューチャー」の名称で始まったN響の現代音楽専門の演奏会が、年1回開かれる現在の「ミュージック・トゥモロー」だ。

今年のN響の委嘱作品は権代敦彦の「Utopia(ユートピア)~どこにもない場所~作品142」。権代の新作で、この日が世界初演となる。今年の尾高賞受賞作品は細川俊夫の「トランペット協奏曲『霧の中で』」と猿谷紀郎の「第62回神宮式年遷宮奉祝曲 交響詩『浄闇(じょうあん)の祈り2673』」の2曲。いずれも2人がそれぞれ昨年作曲した。三者三様の作品を高関健の指揮でN響が演奏する。

権代敦彦作曲「ユートピア~どこにもない場所」を演奏するNHK交響楽団(6月27日、東京オペラシティコンサートホール)=写真提供 NHK交響楽団

まずは権代の大管弦楽曲「Utopia~どこにもない場所」から始まった。というか、いきなり冒頭から曲が終わる雰囲気だ。N響が様々な変奏でひたすら鳴らすのは「ミ・レ・ド」という下降音階。厳密には「ミ」を半音下げて「ミ♭」にした様々な調性の「ミ♭・レ・ド」だ。ピアノの鍵盤上で黒鍵を使わずに表せば「ド・シ・ラ」と同じ音階で、この場合はイ短調になるが、悲劇的で哀感のある短調のメロディーにありがちな、締めくくりの3音に相当する。このため、悲劇がついに幕を閉じる、といった雰囲気が延々と続く。

アート&レビュー 新着記事

ALL CHANNEL