■空き家深刻、改修促進へ国交省が指針

総務省の調査によると、2008年の全国の空き家総数は約757万戸。10年で約3割増えた。このうち半分以上は賃貸物件だ。空き家活用策として国も「カスタマイズ賃貸」の普及に乗り出した。

国交省は3月、借り主が修繕や改装をして住む賃貸借のガイドラインを公表した。修繕が必要な場所や、借り主自身でDIY(日曜大工)で改装できる部分の確認、費用の分担、家賃設定など、入居前に貸主と借り主の間で取り決めておくべきポイントを提示した。

日本では賃貸物件に入居する場合、原状回復義務があるのが一般的。法律上は借り手と貸し手との契約に基づいて改装することも可能だが、実際にはまれだ。

住宅総合整備課の多田治樹氏は「日本では今まで借り主が改装するという発想自体がなかった」と指摘する。もともと持ち家として建てられた空き家はメンテナンスに手が回らず放置されているケースが目立つといい、借り主が改装して住むスタイルが知られるようになれば空き家の有効活用につながると期待する。

海外生活を経験した日本人の増加も市場を後押しする。リクルート住まい研究所が賃貸住宅の居住者を対象に実施した調査によると、壁や天井などを改装した人の割合はニューヨークで半数近く、パリでは約6割に上る。これに対して東京は3.3%。海外で改装を経験した人は、日本でも同様の暮らしを求める。

「(住まい選びの)入り口は賃貸。賃貸でカスタマイズした経験があれば、中古住宅を買う際にも古さだけではなく、『どう変えようか?』という視点を持てるようになる」(リクルートの不動産・住宅情報サイト『SUUMO』の池本洋一編集長)。改装しながら2~3年で住み替えていく。古くても気に入った物件なら直して住み続ける――。「カスタマイズ賃貸」の増加は、住宅の評価基準を変える可能性をもつ。(若杉朋子、若狭美緒)

                                       [日経MJ2014年5月23日掲載]

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