1万種類から選ぶ壁紙

会社員の松本啓佑さん(29)が住むワンルームの部屋には、6種類もの壁紙が使われている。ベッドを置いている側はメタリックな銀色に白と黄色でプリントされたエキゾチックなパターン模様の壁紙。キッチン周辺は朱色を使った横じまの壁紙といった具合だ。

東京都豊島区のロイヤルアネックスでは、入居の際、1万種類以上の壁紙から気に入ったものを選べるサービスを提供している。松本さんの部屋も、もとは真っ白の壁にフローリングのごく一般的な部屋だった。

ロイヤルアネックスを所有するメゾン青樹(東京・豊島)もかつては空室に悩んでいた。2011年の東日本大震災後には外国人の入居者が帰国するなどして、約70部屋のうち空き室が3割に膨らんだ。青木純代表(38)が自宅にカラーの壁紙を取り入れたときの楽しさをヒントに壁紙選択サービスを考案。築26年の物件は、サービス開始から1年足らずで空き室がすべて埋まった。

張り替え費用は基本的にメゾン青樹側が負担するが、も

2DKの部屋(写真上)を1LDK(写真下)にリフォームした吉田さん夫妻(東京都豊島区のロイヤルアネックス)

ともと入居者が変わるたびに張り替えるので負担は従来と大きく変わらない。むしろ入居が決まってから貼り替えるため、賃料収入で確実に回収が見込める。

入居者側もインテリアに関する高度な知識や技術は不要。気に入ったものを選ぶだけで、部屋が自分流にカスタマイズできるため、愛着もわく。

改装した物件の予約待ちも

コンサルティング会社勤務の吉田亮介さん(31)と美術館員の千紘さん(30)夫妻は、入居の際に2DKから1LDKに変えた。部屋の壁を取り払って居間を拡張。台所のカウンター部分をタイル張りにし、同じタイルを使って部屋の一角に書斎スペースを設けた。

何よりのこだわりは、広くなったリビングの壁の一面を全面黒板にしたところ。「賃貸だから冒険して、いま一番気に入ったものを選べた。(持ち家で)老後まで住むと考えたら守りに入ったかもしれない」と千紘さん。改装費用は家賃の約2年分で、一部の棚などを除き、メゾン青樹が負担した。ロイヤルアネックスでは、スケルトン(骨組み)状態から間取りや設備の配置まで完全に入居者の希望を反映させる「オーダーメード」のサービスも手掛けている。

賃貸物件だけに入居者はやがて引っ越していくが、改装された部屋を気に入って空きを待つ予約が入っている部屋も珍しくない。賃貸物件の家賃は立地や広さで相場が決まり、年数を経るごとに賃料は下がっていくケースが少なくない。しかしロイヤルアネックスでは改装により、近隣相場より1~2割高い水準を維持できているという。

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