「終活」はワンセット 葬儀も墓も相続も一緒に

低価格プランを打ち出し、葬儀の平均単価が下落するなど業界全体を揺るがしたイオンとユニクエスト・オンライン(大阪市)。最近では墓や相続など葬儀周辺のプランも用意し、シニア層の囲い込みを始めている。終活マーケティングの最前線を追った。
イオンはグループの店舗内で買い物ついでに参加できる終活セミナーを開いている(千葉県柏市のイオンモール柏)

遺影写真やひつぎも体験

4月下旬、イオンモール柏(千葉県柏市)の広場で、買い物客が熱心にパネルやスクリーンを見ていた。イオンが開いた「終活セミナー」だ。買い物のついでに立ち寄った45歳の主婦は「イオンのお葬式」について書かれたパネルの前で「火葬式には何が含まれているんですか?」と説明員に聞いていた。

イオンは2009年に葬祭事業に参入し、11年から追加料金なし定額プランを打ち出した。現在、全国の葬儀社約500社と提携し、火葬式(20万3000円)、家族葬(50万8000円)など値ごろ感を打ち出す。

1カ月に2カ所の店舗で開く終活セミナーでは、葬儀以外にも墓や相続、保険など終活にかかわる相談に無料で応じる。事業を開始した5年前は「チラシさえ受け取ってもらえなかった」(イオンリテール)が、最近では毎回500~1000人が集まる盛況ぶりだ。

人気はひつぎや遺影写真の体験コーナー。「終活について具体的に考えてもらうきっかけになる」(イオンリテール・イオンライフ事業部の広原章隆事業部長)。元気なうちはピンとこない人も多いが、遺影写真やひつぎを体験した人は「ほぼ100%、事前登録してもらえる」という。

事前登録とは、店頭やネットで名前や住所を登録しておき、施行時にすぐ対応できるようにしておく仕組み。店頭で個別相談に訪れた顧客からそれ以外に希望の葬儀スタイルや墓石の有無などを聞いておく。

葬儀の施行件数(月約700件)のうち事前登録した人が6割を占める。現在は4万5千人が登録しており、目標は2020年までに20万人。事前登録が増えれば、収益の安定につながるという計算だ。

葬儀は利益率の高い事業だが、イオンの場合、店頭などでの消費を喚起する狙いもある。55歳以上を「グランド・ジェネレーション世代」と呼び、グループ総力で囲い込む戦略だ。

昨年11月からは店頭に「くらしのコンシェルジュ」を配置し、葬儀からリフォーム、家事代行までトータルで相談を受けられるようにしている。特に好調なのは12年から始めたペット葬の受注で、昨年比約3倍の伸び率で推移。「近いうちに『イオンのお葬式』と同じ規模になる」(広原部長)勢いだ。

「葬儀社の会員制度と違いを出すために、生きているうちにメリットがあるようにしたい」(同)と、今後は事前登録者へのサービスを強化する。事前登録者に提供するカードに電子マネー「ワオン」を付けて日常の買い物で割引ができるようにしたり、家族会員制度を整えたりする計画だ。

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