ガンダム35周年 巨大ロボットの枷があればこそ「生みの親」富野由悠季氏語る

「機動戦士ガンダム」は昨秋にHDリマスター化され、ブルーレイや有料放送(4月7日からBSアニマックスで)を通じてハイビジョンの高画質で見られるようになった。

僕はホームビデオ、レーザーディスクや今回のHDリマスターなどこれまで5回ほど、映像のバージョンアップにかかわっている。1作でこんなに何度もやっている人間は他にいないだろう。

アムロとその仲間たち(C)創通・サンライズ

その中で今回は、危険も感じた。技術が進み、極端な話、映像を作り変えることもできるようになったからだ。私は、映像がクリアになり過ぎることに違和感がある。ブツブツの粒子が全て消え、輪郭線の黒が鮮明になり過ぎると、もとの16ミリフィルムの作品からかけ離れてしまうように思う。そこで技術者の方には、最低限の補修しかしない努力をしてほしいとお願いした。

これは今後、アニメ界の大きな問題になっていくだろう。もとのフィルムが残っている作品はまだしも、そうでない作品は、数十年たつうちに、別の作品に変わってしまう恐れがある。映像を加工する上で、そうしたことをどれだけ想像して、意識できるか。それこそ「文化」の問題なのではないだろうか。(聞き手は文化部 瀬崎 久見子)

機動戦士ガンダム 1979年4月に始まったテレビのアニメシリーズ。宇宙への移民が進んだ未来世界におけるアムロ・レイ少年の戦いと成長の物語で、簡単に善悪に分けられない複雑な人間関係や、ロボットを「モビルスーツ」と称して兵器として扱った点などが、ロボットアニメの世界観を進化させたといわれる。富野由悠季が総監督を手がけたテレビシリーズは「Zガンダム」(85年)「ガンダムZZ」(86年)「Vガンダム」(93年)「∀(ターンエー)ガンダム」(99年)まで続いた。ほかにも劇場版、オリジナルビデオ、漫画や小説など多様なメディアにシリーズは広がった。欧米、アジア、南米を中心に世界各地に放送・配信されている。
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