宝塚歌劇星組公演「眠らない男・ナポレオン」次の100年への一歩刻む日仏合作ミュージカル

宝塚歌劇団が星組公演「眠らない男・ナポレオン」で創立100周年の幕を開けた。これまで数々のヒット作を放ってきた作・演出の小池修一郎が、フランスの人気作曲家を招いて創った新作ミュージカルだ。海外の劇場文化を取り込んで成長した歌劇団が、次の100年は「海外への発信」を目指す。総力を結集して挑んだ初の日仏合作ミュージカルは、その第一歩に位置づけられる意欲作だ。

ナポレオンを演じる柚希礼音(中央)とジョセフィーヌを演じる夢咲ねね(中央左)(兵庫県宝塚市)

「勝利の女神、ジョセフィーヌ」。りりしい軍服姿のナポレオンが、世継ぎを産めない妻・ジョセフィーヌへの愛と、皇帝としての立場の間で揺れる思いを歌う。切ないメロディーに、激しい葛藤がにじむ。

音楽を手掛けたのはジェラール・プレスギュルビック。全世界でヒットしたミュージカル「ロミオとジュリエット」の作曲者だ。「ロミオとジュリエット」は小池の潤色で宝塚版も上演され、成功を収めた。小池は100周年記念公演の目玉として、プレスギュルビックに作曲を依頼。「フランスの劇場文化を吸収してきた宝塚が発展し、フランスの作曲家と同じ土俵で作品を作れるようになった」(小池)と意義を強調する。

おおまかなストーリーをもとに作曲し、そこに歌詞をはめていく、という手順で作業は進んだ。「メロディーが極めてシンプルだから、喜びも苦しみも表現できる。どうにでもなってしまうのが、逆に難しかった」と小池。制作は難航し、完成は大幅に遅れたが、次々と転調するメロディーが耳に残る印象的なミュージカルに仕上がった。ポップ調の軽やかな音楽が宝塚の華やかさとマッチし、現代的な雰囲気を醸し出す。

フランス皇帝、ナポレオンの波乱の生涯をつづる物語。主演の星組トップスター・柚希礼音(ゆづき・れおん)の「押し出しの強さに合わせて選んだ題材」(小池)だ。ナポレオンの副官だったマルモン元帥の回想形式で舞台は展開。士官学校時代から、フランス革命を経て皇帝に駆け上がり、最後は民衆に見放されて没落するまでを駆け足でたどる。