「リンパ」という言葉はよく聞くけれど、いったい私たちの体で何をしているのでしょうか? 私たちの体を守るリンパの基本的な仕組みを、じっくり解説します。
廃物や余分な水分を回収する働きがあるリンパは、「体の下水管」とも表現され、血管同様全身に網の目のように張り巡らされている。しかし、リンパには、血管とは異なる特徴がある。
血液は40秒、リンパは8~12時間で一周
一つは、リンパの走行は左右対称ではないこと。下半身全体から集まったリンパは、中央の胸管に入り、体の左の静脈角で静脈に合流する(図1)。
右腕など右上半身のリンパは右リンパ本幹から右の静脈角へと入る。左側に少し偏った走行なのだ。
そして、スピード。「血液は、心臓から送り出されると、全身を巡って40秒で戻ります。しかし、リンパは足先から、静脈角にまで到達するのに8~12時間かかります」と信州大学医学部の大橋俊夫教授。リンパの流れは、非常にゆっくりとした速度なのだ。さらに、静脈に合流するまでに、フィルターの働きを持つ関門「リンパ節」を複数経るのも特徴だ。