炎症トラブルも、店選びは慎重に

日本まつげエクステンション協会(東京・港)の北沢雅一副理事長によると、まつエクが広がってきたのは2005年ごろ。もともと日本人のまつげは欧米人に比べて本数が少なく、下向きが多い。「そのことをコンプレックスに感じる人は多かった」(北沢さん)。目は顔の印象を左右するとされており、上向きの毛を付けることで顔つきまで変わる。

一方で、目の炎症などトラブルが発生するリスクもある。まつエクの施術には美容師免許が必要だ。そのうえで「いい店の見分け方はアレルギー反応の有無など事前のカウンセリングをしっかりしてくれるかどうか」(北沢さん)。店内の衛生状況がよくない店や、料金が極端に安い店は注意したほうがいい。

まつエクは、目元をごしごしこすったり、うつぶせに寝ると毛がとれてしまう。都内の広告代理店に勤務する杉山一生さん(23)は7月から始めたばかりだが、まつげをいたわる生活に慣れてきた。いまや「毛が取れると悲しくなる」という。

悩むこと3日、記者も体験

「君もやってみる?」。デスクの一言でまつげエクステンションを体験することに。34年間の人生で髪にパーマをかけたこともなければ、まゆげを細くしたこともない。自分を納得させるまで3日ほどかかった。

記者もまつ毛エクステに挑戦。どちらの目に装着したか分かりますか?(答えは右目)

取材で訪れた渋谷のまつエク専門店。頼んだのは片方の目に50本ずつの増量コースだ。「自然な感じになりますよね」。心配のあまり声が裏返った。目の周辺に接着剤が付かないようテープが貼られ、まぶた越しに手が動いていく。毛を付ける際はまつげが少し引っ張られるようだ。

1時間で装着。ドライヤーの送風をまつげにあてて接着剤を乾かす。テープを取り外してから手鏡を渡されると、確かにまつげが増えていた。目を開けていると分かりにくいが、少し細めた際のまつげのボリューム感は快感といってもいい。

外に出ると、まつげにバサバサと風を受ける感覚。職場で後輩から「言われないと気付かないっすね」と素っ気ない反応をされても気にしない。鏡を見た自分のまつげはちゃんと上を向いている。まつげを気遣う生活は窮屈だが新鮮だ。

(古山和弘)

[日経MJ2013年9月20日付]

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