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ブームの予感(日経MJ)

けん玉、ストリート系男子はまる 音楽流し技披露 米国発、新たなファッションに

2013/9/22

 BMX(バイシクル・モトクロス)やスケートボードなどストリート系スポーツをする若い男性にけん玉が人気だ。定番の技を競うのではなく、新しい技を編み出して自由に遊ぶのが当世流。数年前に米国の若者の間で火が付き、逆輸入の形で日本で広がっている。
原宿でけん玉の練習をするストリート系ファッションの人たち
アパレルショップの店頭に並ぶけん玉(東京都渋谷区の「DECADE」)

■原宿でパフォーマンス

 今月7日、東京・原宿にスケーターやBMXライダー、ダンサーら10人ほどの若い男性が集まった。彼らの腰には専用ホルダーに入ったけん玉がぶら下がる。広い路地を見つけ、一斉にけん玉が始まった。

 「天中殺(てんちゅうさつ)だ」。玉を持ち上げて、けんを振り下ろしながら穴に刺す高度な技が決まると歓声があがった。2カ所の皿で交互に玉を受ける「もしかめ」といった定番の技をする人はいない。糸を持ってけんと玉をヌンチャクのように振り回す激しい動きを繰り返す。アクロバティックな技の連続に思わず足を止める通行人も多かった。

 プロBMXライダーの田中光太郎さん(36)は「1年半くらい前にマレーシアのスケートショップで見つけてけん玉を始めた。一連の流れを考えて技を繰り出すところがBMXと似ている」と魅力を説明する。路上にはけん玉仲間が次々と集まり、開始1時間で20人ほどに膨らんだ。

■アパレル業界も注目

 これまでけん玉は小学校や学童保育施設の教育の一環で子どもの遊びという側面が強かった。ストリート系けん玉の普及に取り組む河本伸明さん(35)は「最近のブームは米国から始まった」と解説する。

 米国の若者が日本のけん玉を持ち帰ったのがきっかけ。音楽に合わせて次々と技を決める動画がネット上で話題となり、ファッション性の高い遊びとして火が付いた。欧州やアジアにも流行が広がり、人気のプロ選手も出てきた。

 けん玉自体も多彩に。国内では日本けん玉協会(東京・千代田)が認定する国産の競技用けん玉が主流だが、滑らないよう玉にラバーを巻いたものや色彩が鮮やかな海外メーカー品を扱う洋服店やスケートショップが増えている。洋服店「DECADE」(東京・渋谷)は今月、デンマークのクロム社のけん玉の販売を始めた。ウォールナットの木目が美しく、価格が5千円前後と高いが来店客の反応は上々という。

 アパレル業界でもファッションにけん玉を取り入れる動きが出てきた。ビーズインターナショナル(東京・目黒)は3月、けん玉メーカーの山形工房(山形県長井市)と組み、「XLARGE」ブランドのけん玉(3990円)を発売。現在はほぼ完売の状態だ。河本さんは「好きな人は10個は持っている。最初が協会認定品。次が使いやすいもの。3個目がこだわりの1品」と話す。

 日本けん玉協会も世界に広がるけん玉ブームへの対応を急ぐ。7月に国外段位認定制度を設け、海外でも段を取得できるようにした。来年には、飲料メーカーと組んで、国際大会を開く計画だ。

 けん玉はフランス発祥とされ、けんと3つの皿を持つ現在の形は1918年に広島県で生まれた。80年ごろに競技用けん玉の登場を機に国内でブームが起きたが、近年は小学生や一部のファンのみに支えられている状況だった。今回の世界を巻き込んだ動きはまだ始まったばかりで、大ブームにつながる可能性もある。

(阿曽村雄太)

[日経MJ2013年9月18日付]

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