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「若冲が来てくれました」展 絵画の面白さダイレクトに伝える

2013/8/16

ここ十数年来、江戸時代絵画の人気が高まっているとはいえ、200年も前の絵の世界と現代とは、依然として大きな隔たりがある。福島市の福島県立美術館で開かれている「若冲が来てくれました プライスコレクション 江戸絵画の美と生命」展は、その隔たりを可能な限り埋め、絵画の面白さをダイレクトに伝えようとする展示が光った。

ジョー・プライス氏は、伊藤若冲再発見の立役者の一人として知られる米国人コレクターである。近世絵画の名品を集めたそのコレクションの里帰り展は7年前にもあったが、「東日本大震災の被災地の人々を励ましたい」というプライス夫妻の思いを実現させた今展は、作品の見せ方が、前回とは大きく異なる。名品を時代順に並べ、流派ごとにまとめて並べるというようなオーソドックスな展示とは対極で、絵の魅力を直感的に楽しめる構成となった。

最初のコーナーが「目がものをいう」。目を光らせる虎、鋭い目つきの軍鶏(しゃも)、妖しげなまなざしの幽霊と、描かれた目に意識を向けると、それぞれの作品の個性が浮かび上がるのが、よく分かる。次のコーナーが、「数がものをいう」。「おたふく」の群像、鳥の群れ、釈迦の死を悼む人々、と群像を描いた絵のオンパレード。数羽の鶴が妙な姿で体を絡み合わせる若冲の「群鶴図」を前にすると、「いったい何羽いるの」と、絵師が仕掛けたそのトリックに、思わず見入ってしまう。一方、同じ鶴を描いても鈴木其一「群鶴図屏風」は、左右19羽の鶴の行列が形づくる整然とした動きを巧みに図案化して、心地よいリズムを奏でている。確かに、数がものをいう画面なのだ。

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