エンタメ!

映画セレクション

日本人監督2作品登場 新たな表現の可能性示す 東京国際映画祭リポート(1)

2012/10/25

 第25回を迎える東京国際映画祭が20日、開幕した。東京の六本木ヒルズを主な会場としてに28日までの9日間、提携企画を含め、世界各国の約300作品が上映される。最高賞の「東京サクラグランプリ」を競うメーンのコンペティション部門には、過去最多の応募となる約1330本の中から15作品が審査で選ばれた。日本からは松江哲明監督の「フラッシュバックメモリーズ 3D」と奥原浩志監督の「黒い四角」の2作品がエントリー。開催2日目の21日には、両監督の作品が上映され、会場は映画ファンで埋まった。

奥原浩志監督「黒い四角」

 先に登場したのが、奥原監督の「黒い四角」。SFの手法で描かれるラブストーリーで、舞台は現代の中国・北京。郊外の芸術村に住む、売れない画家チャオピンは、知り合いの個展で目にした黒く塗りつぶされた絵に触発され、自らも同じ絵を描く。翌日、チャオピンは空中を浮遊する黒い物体を目にする。物体に導かれ、たどり着いた先で、謎の男と出会う。記憶も名前も分からない男。しかし、チャオピンはどこかで、会ったことがあるような既視感を覚える。チャオピンの妹、リーホアもその男の面影を次第に追い始める。そして、物語は遠く、日中戦争の日本兵と中国人兄妹の記憶へと展開していく。

 撮影は全編、北京で行われた。奥原監督は「北京郊外に行ったとき、荒涼とした風景が印象に残った。SFの世界だと感じたことがこの作品を撮るきっかけになった」と話す。荒野を「黒い四角」が浮遊していく様は、奇妙なリアリティーを感じさせる。

 もう一つの出発点は「死者について描くこと」(奥原監督)だったという。もともと「(日本と中国の戦争には)興味があり、小説なども幾つか読んできた」。日中戦争時の不幸な両国の歴史を乗り越え、亡くなった日本兵が、実体を持ってよみがえる展開には「亡霊と愛は同じようなもの。人が消えても思いは残る」という監督の思いが凝縮されている。全編を通して、時代や国を超えた「愛」が通奏低音のように流れる。

【関連キーワード】

松江哲明奥原浩志

エンタメ!新着記事

ALL CHANNEL