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イチからわかる

「1000年に一度の大災害」ってなぜ分かる

2011/5/16

「東日本大震災が1000年に1度の大地震だったって聞いたけど、どうして分かるのかしら」。事務所にいた小学生、伊野辺詩音が松田章司に問いかけた。「当時は正確な地震計なんてないのに不思議だな。調べてみるか」

昔の地震を調べる専門家がいると聞いた2人は、独立行政法人、産業技術総合研究所の関西センター尼崎支所(兵庫県尼崎市)を訪ねた。応対してくれた寒川旭さん(64)は「地震の時期や規模を知る手掛かりは、古文書や遺跡にあります」と説明を始めた。

内陸に海の砂

液状化の痕跡(写真中央)が遺跡の発掘調査で見つかることもある(京都府八幡市の内里八丁遺跡、寒川旭氏提供)

今から1110年前、平安時代の901年にできた日本の歴史書『日本三代実録』は、869年に東北地方で起きた地震についてふれている。「仙台平野に大津波が押し寄せ、1000人が溺れて亡くなったと書いています。当時の人口を考えると相当な被害です」

仙台平野にある多賀城跡(宮城県多賀城市)は、地震で壊れ、建て直した跡が残っていた。地質を調べると、海の砂の層が海岸線から数キロの内陸で見つかった。津波が押し寄せた証拠だ。

「1000年ちょっと前の事は分かったけど、その後は大きな津波がなかったんですか」。詩音の質問に寒川さんは「江戸時代の1611年にも大津波が仙台を襲ったと、スペイン人探検家が日記につけています」と教えてくれた。ただ、地質調査が進まず規模ははっきりしないそうだ。

地震の研究をしている小堀鐸二研究所(東京・港)の武村雅之さん(59)にも話を聞いた。「地震が将来起こる確率を計算する際にも、歴史や地質の調査は重要です」。例に挙げたのが、静岡県などに大きな被害を与えそうな東海地震だ。

東海地震は繰り返し起こっており、古文書を分析すると周期が分かる。この周期をもとに、前の地震から何年たつと次の地震がどのぐらいの確率で発生するか計算できるという。直近の地震は157年前の江戸時代。「ここから、現在は30年以内に87%の確率で起こると予想しています」

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