ビットコイン再考 根強い支持とナカモト氏の誤算

Q どうしてそんなふうになってしまったのか?

A きっかけとなったのは他の通貨との交換だ。ナカモト氏がどう考えていたかは分からないが、少なくとも論文には、他の通貨との交換や取引所への言及は一切ない。MTGOXの親会社ティバンが昨年開設したサイト「ビットコインドットコム」によると、ビットコインがドルと交換可能になったのは誕生から2年以上たった11年2月。当時は1BTC=1ドルだったという。

ビットコインは決済手段としては優れているが…

岡田氏は「両替が可能になった途端、相場が生まれて投機商品としての性質を持ってしまった」と指摘する。その結果、投機マネーが流入し相場は高騰。取引所の重要性が高まり、ビットコインを金もうけの手段と考えたマイナーたちの競争により、マイニングの難易度は飛躍的に上昇した。こうして、ナカモト氏の描いた「平等な世界」は終わりを告げた。

暗号技術や運用上の課題とは別にビットコインの「設計思想」にも異論が上がっている。そうした弱みを補う、あるいは克服するために、ビットコインの多くの亜種が「もっともすぐれた仮想通貨」の座を争っている。

■設計思想を巡る競争へ

Q 発行量に上限があることを問題視する声もあるようだが?

A ビットコインには、インフレを防ぐ仕組みとして発行量に2100万BTCという上限があり、4年ごとに新規発行量(マイニングの報酬)が半減する。世にその存在を知られず、マイニングも簡単だった最初の4年で半分の量が発行され、その多くはナカモト氏をはじめビットコインの仕組みを作った人々が手にしていると考えられる。1ドルだった1BTCは一時1200ドル超、4月3日時点でも400ドルを超え、彼らはいまや莫大な財産を手にしていることになる。成功するかどうかも分からない仮想通貨を、コストを払って育て上げた功績は報われるべきだという考え方もあるが、「発明者」たちが相当の割合を抱え込んでいる状態は、公共性の高い社会インフラとしてはいびつかもしれない。

また、すべての取引が公開されているという点で、ビットコインの匿名性は限定的だ。マイニングの難易度を下げ供給量を多くしたり、さらに匿名性を高めたりといった、さまざまなアプローチで新たな仮想通貨が日々登場している。ビットコインはオープンソースなので、1カ所書き換えるだけでも別物になる。岡田氏によると亜種の数はいまや1400にも上るという。なかには、ビットコインの認証の仕組みを応用し、インフラとして活用しようという試みもある。

決済や所有権移転を低コストで行う手段として、ビットコインは大きなブレークスルーをなし遂げたとされる。最後に残るのはビットコインか、その改良版か、まったく新しいアイデアか――世界を変えていく力を秘め、仮想通貨の競争は続く。

(電子報道部 森下寛繁)

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