株高で始まった2013年、日本経済が長い停滞を脱する兆しを見せる中、個人はどう資産運用していけばよいのか――。日本経済新聞社は26日、ニッポン金融力会議のセミナーに晋陽FPオフィス代表のカン・チュンド氏を招き、電子版マーケット編集長兼マネー編集長の鈴木亮と対談した。「投資信託で二度と失敗しないために」をテーマに、分散投資の重要性を話し合った。
金融機関を相手に「いいものはないですか」は禁句
――株価が上昇し、銀行や証券会社は手ぐすね引いて待っている。
「知識がないまま店頭に出向くのは危険だ。『いいものはないですか』は禁句。投資信託は必ず100%もうかるものではない。銀行・証券会社にとって良い商品とは、自分たちが売りたい商品。皆さんが相手の利益に協力する必要はない。店員が詳しく商品説明し、その効能が期待通りの家電とは違う」
「私たち投資家が、学ぶ姿勢を見せなければならない。失敗してひとりで悩んでつらい思いをしないように、これからはもっと情報を共有してほしい。こちらが学べば、売り手もレベルアップして、良い商品が明確になってくる。日経電子版の連載「コレだけ読めば大丈夫! はじめての投資信託」でも「投信選び『いいものないですか』は禁句」と題して触れているので読んでほしい」
――リーマンショックのあおりで、退職金全額をはたいて買った新興国株投信が半値になったという話を聞いた。
「一時期にまとめて購入してしまうと、その後の相場変動に対処できなくなってしまう。そこで、積み立てをお勧めする。購入時期を分散しておけば全く違う結果になる。投信の資産価値は口数×基準価格で決まる。同じ金額で定期的に購入すれば、株価が高い時は少ない口数しか買えないが、株価が安くなればたくさんの口数が買えるようになる。株価が下がったからといって悲観する必要はなくなる」