マネー研究所

カリスマの直言

NISAにため息 長期投資へ真の改革を(渋沢健) コモンズ投信会長

2013/9/1

制度継続期間が10年ということは、これまで10年間続いた証券優遇税制の代替という意図がうかがえる。では、なぜ非課税期間が5年なのか。制度継続期間と非課税期間が異なるいびつな制度設計にして、分かりにくい内容にする意味があるのか。

■「非課税期間5年」落としどころの真相

8月末に開催した「愛と資本主義セミナー」。登壇していただいた森美術館館長の南條史生さん(左)とブランド経営コンサルタントの坂之上洋子さん(中)

ある筋によると、真相はこうだ。もともとの構想では、非課税期間は当然ながら制度が継続する10年間と一致していた。しかしこの場合、非課税枠の総額は100万円×10年=1000万円になる。1000万円となると、たとえそれが10年間かけたものだとしても「金持ち優遇」と批判されるかもしれない。それなら「500万円」という数字の方が落としどころがいいだろう。だから制度の継続期間は証券優遇税制の代替として10年間とする一方で、100万円の非課税枠の期間を5年間とした――。

ため息をつくしかない。確かに預貯金から株式や投資信託へと資金を振り向けようとする一般個人を応援するため、少額投資に対して税優遇をするという側面は評価すべきだ。年間100万円の非課税枠も適切だと思う。しかし、たった5年という期間で、当局が期待している「家計の安定的な資産形成の支援と経済成長に必要な成長資金の供給拡大を図る」ことができるだろうか。長期投資を通じて同じ目的を果たすため、仲間たちと投信会社を立ち上げた私に言わせれば、はなはだ疑問だ。

私たちは4年7カ月前にファンド(公募投資信託)を設定してから、毎月連続で流入している資金を長期投資のスタンスで運用している。その立場からすれば、5年といえば家計の資産形成と、成長資金供給拡大に向けたスタートを切ったばかりというイメージだ。5年以内に売却しなければ税の優遇がない制度は、我々が考える長期投資の応援にはならない。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL