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相続トラブル百科

3カ月以内に決断 相続放棄は待ってくれない 相続トラブル百科 実践編第60回

2013/7/26

また、いざ故人の借り入れを把握したいといっても、現実としてはそんなに簡単な作業ではないこともあります。生前から、借入先と交わしていた契約書がどこに保管してあるのか、それぞれの借り入れの利息の支払い状況などはどうなっていたか、負債についての詳細を遺族と共有していたのであれば、苦労はないのかもしれません。しかし、常にそのようなケースばかりだとは限らないのです。

むしろ、少なからぬ場合において、状況はまったく逆になってしまいます。借金があったことや、無断で他人の連帯保証人になっていたことなどは身内にはなるべく内緒にしておきたい……。そんな背景から、故人があえて情報を遮断し、残された相続人は詳しい話をほとんど何も聞かされていなかった、というケースも決して珍しくはないはずです。

そうなると、故人の借金を把握しようにも、遺族としてはなかなか手がかりに乏しいということになるでしょう。おそらく次の一手としては、故人についての信用情報の開示を求めて行くということになるかもしれません。銀行系や消費者金融系などの各種の信用情報機関に登録されている情報について、相続人からの開示請求ができる場合があるのです。しかし、この調査もとんとん拍子に手続きが進むというわけではなく、1件あたりの照会につき数週間単位で時間がかかってしまうような場合も出てくるでしょう。

しかも、結局のところ時間の問題だけではありません。仮に遺族が一連の信用情報をもれなく把握できたとしても、それが故人の借り入れのすべてだとは限らないのです。例えば、親戚や知人などのあいだの私的な借り入れや、信用情報機関に登録されていない業者とのあいだの契約については、残念ながら信用情報の開示請求だけでは把握することができないからです。

さらに借り入れ状況の調査の展開によっては、遺産の把握をよりややこしくしてしまうような事態の発生も想定されます。故人が取引を行っていた相手の中には、もしかしたら法定利息を超えて貸し出しを行っていたところがあったかもしれません。そうなると、払い過ぎていた利息の返還請求をする、いわゆる「過払い金の請求」ができる可能性が出てくる場合があります。ケースによっては、すっかりマイナスの負債だとばかり思われていたものが、金利を引き直して計算すると、逆にプラスの財産として新たに見直されるようなことが起こりかねないのです。

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