忍び寄る相続税貧乏 「遺産=不動産」なら要注意相続トラブル百科 実践編第85回

相続税増税のスタートまでいよいよ残り1年を切りました。原則として相続税は、現金で納付する必要があります。増税が現実のものとなれば、相続人は「より多くの現金」を準備しなければなりません。

相続増税の影響を受ける層は、従来に比べて幅広く分布すると予測されます。影響の規模は遺産総額に応じて異なりますが、新制度で課される相続税額が旧制度の税額より大幅に増えるケースは少なくないでしょう。

大きなインパクトを受けるのは、これまで相続税の基礎控除額の標準だった8000万円を超え、1億円をいくらか上回る遺産額を継承する家庭だといわれています。この層では大みそかから2015年に変わる午前0時をまたぐと、かかってくる相続税が一気に2倍、3倍、あるいはそれ以上に膨れ上がるケースが出てくるかもしれません。

納税資金を相続人の懐から… 都市部の住宅街でありがち

遺産に現金や換金しやすい有価証券が十分に含まれていれば、瞬間的に膨れ上がる負担に耐えることができるでしょう。しかし、都市部の住宅街にありがちな「自宅のマンション1つ、あとは現金が少し」といったケースでは、納税資金を遺産からではなく、相続人自身の懐から出さなければなりません。

現実の話として、現金が少ない事態は十分に予想されます。国税庁の資料で相続税の申告状況などをみると、いかに不動産が遺産の中で高い割合を占めているかが分かります。例えば11年に起こった相続の場合、土地と家屋を合わせた割合が財産全体の50%以上を占めています。この数字はあくまで「平均値」です。それでも「半分以上が不動産」ですから、8割、9割が不動産だという家庭も存在するでしょう。

さらに相続税が課せられるほどの遺産が残る状況でも、受け取る側の事情は一様ではありません。「自宅の新築やリノベーションを終えたばかり」「子どもの教育ローンのまとまった返済がある」「今まで果たせなかった念願の長期海外クルーズに出かける」など、大きな資金需要の発生時期にさしかかることがあります。

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相続した不動産の売却には経費が必要
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