2012/12/27

カリスマの直言

昭和19年から30年間で初任給は1000倍近くに

私が社会に出た1974(昭和49)年は高度成長期で、入社してすぐの6月の給料改訂で初任給が6万円になったと記憶している。今、私の手元に祖父太一が書いた父の記録があるのだが、父・邦夫は1944(昭和19)年に東芝に入社した。その時の月給が75円とある。昭和19年の初任給が75円。昭和49年は6万円。30年間で初任給は1000倍近くになったのだ。30年たつと1千万円が1万円の価値に減額してしまったわけだが、今後予想されるハイパーインフレは、もっとすさまじいものであろう。

ここまで財政赤字が累積してしまったからには誰が首相になろうとも、どの政党が政権を取っても、ソフトランディングは無理だと私は思う。

友人のオペラ歌手(テノール)佐野成宏さん(中央)のクリスマスコンサートで。偶然、モルガン時代の部下・鈴木裕之君と出会う。鈴木君は大昔、武蔵野合唱団で東京芸大に進学する前の佐野さんと一緒に歌っていたそうだ

アベノミクスを実行しなければ円安が進まず、日本経済の超低迷は長く続き、ガラガラポンは少し先延ばしとなる。アベノミクスを実行すれば明日にでもガラガラポンが起こるだろう。どうせ不可避なら、社会のリセットは早く起こした方がいいと考えるか、少しでも先延ばしにした方がいいと考えるかの選択にすぎないと思う。

アベノミクスで浮かれていてはいけない。「ファースン・ザ・シートベルト」(シートベルトをお締めください)」に変わりはないのだ。それ以上に、それこそ、シートベルトをギュッと絞めた方がいい時期に入った、と私は思う。

ガラガラポンを避ける方策を考えるよりも「ガラガラポンの後どういう仕組みの新しい日本を創造していくのか?」の議論の方が必要になってしまったと思わざるを得ないのだ。

藤巻健史(ふじまき・たけし) 1950年生まれ、一橋大卒、三井信託銀行、モルガン銀行など経て、フジマキ・ジャパン代表取締役。モルガン銀行時代はディーラーとして抜群の実績を上げ、東京支店長に。伝説のトレーダーと呼ばれる。ジョージ・ソロス氏のアドバイザーも務める。「外資の常識」(日経BP社、のち日経ビジネス人文庫)など著書多数。
読者からのコメント
アウトライヤーさん、40歳代男性
今の日本で調整インフレは十分に実現可能だとと思います、海外から借金しなけらばならない状況でなく、税収の不足分は財務省証券と日銀券を交換することで埋め合わせ可能です。日銀券の価値は希薄化しますが、現在日銀券で資産を持つ者、もらえる権利を持つ者が相応に負担するのです。これから収入を得ようとする者、リスクを取って投資や経済活動をする者が報われるようになるのです。政権交代で流れは変わりました。早く気がつき資産の入替等の行動を起こすべきとき。
50歳代男性
国債の発行増を止めることはできないようにみえます。今でも利払いに22兆円必要なのですから、2%のインフレに転ずれば利払いだけで40兆円を超えてしまい、国債の発行残高の増加が加速するのではないでしょうか。銀行の余裕資金は160兆円程度で、あまり時間は稼げそうにありません。企業は既に海外展開を進めており、円安で業績が大きく好転するとは思えませんし、繰延税金資産で損失を先送りしていますから、税収が急激に回復するとも思えません。国債の海外保有比率が10%近くまで上がってきましたので、国内で消化が苦しくなったとみれば、売りを仕掛けてくるのではないでしょうか。日本が売り崩される日は近いように思えます。藤巻ハゲタカならば、どのタイミングで売りを仕掛けるのか、そのときにはどのような相場になるのか、教えてもらいたいものです。
タカシさん、60歳代男性
藤巻氏は日銀の国債買い入れとヘリコプターマネーを結び付けておられますが、それは正しくありません。理由は、日銀がいくら国債を買い入れても、われわれ庶民には、そのお金が1円も懐に入ってこないからです。庶民に継続的に、ただでお金が配布されないことにはヘリコプターマネーにはならないし、ハイパーインフレにもなりません。われわれが、お金を手に入れるには働くしかないのです。
60歳代男性
1960年代から70年代はインフレでした。ハイパーインフレではないですが。大学の学費は毎年上がる。食糧も上がる。そのため毎年、ストを構えて月給を上げるしかないわけです。2%の物価目標で来年、物価が2%上がれば、庶民の実感では5~8%くらいの物価上昇となるでしょう。たぶん安部さんは、また政権を投げ出すでしょう。平均は恐ろしいものです。春闘も復活でしょう。
30歳代男性
すでに1000兆円の公債が積み上がり、これまで買い支えてきた国内金融機関、年金、保険の引き受け余力が限界に達していることを見過ごしてはならない。特に、民間金融機関は国際規制と国際競争にさらされており、リスクの高い公債をこれ以上引き受けることは実質的に困難になっている。極端に積極的な金融政策と緩慢な財政政策の組み合わせは、間違いなく円離れを加速させる。今回の安部政権の組閣人事、その後の財務相発言から、安倍政権は財政規律を無視しているのではないかと強く危惧する。人口構造の変化、グローバル化に応じた課税構造の大転換、社会保障給付の効率化に向けたメッセージを早く打ち出してほしい。ハイパーインフレをどう定義するかにもよるが、現在の認識として、財政破たんは不可避ではないかと考えている。
rouさん、30歳代男性
ドイツがハイパーインフレーションになったのは、天文学的な第一次大戦の賠償金を支払うためです。意図的にハイパーインフレを起こしました。1946年の日本は終戦直後で深刻なモノ・食料不足だったのが原因です。米を求めるのに物々交換でないと買えなかったといいますから。ドイツの場合、43億倍マルクを刷ったためハイパーインフレに至ったとのこと。バブル崩壊後の停滞を経験し、インフレ政策に過度に慎重になっている今の日本で、そんな馬鹿なことが起こるはずはありません。むしろ、過度の慎重論で現在必要な政策が尻すぼみになり、結局デフレから脱却出来ないことのほうが、デメリットが大きいと思います。
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