2013/4/25

カリスマの直言

7割も国債買い取れば実質「引き受け」

また、日銀は発行額の7割までの国債を市場から買い取るという。日銀が国債を引き受ける(直接買う)ことは財政法第5条で禁止されている。ハイパーインフレを経験した先人の知恵だ。一方で国債買い取り(市場が国から買い取った国債を日銀が買う)について許されているのは、市場のチェック機能が効くからという理由だ。しかし発行額の7割もの国債を日銀が買って市場のチェック機能が働くというのだろうか? 私はこれは実質「国債の引き受け」だと思う。日銀は先人の知恵を無視し、ルビコン川を渡ってしまったのだ。

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私の現役時代は日銀の総資産に占める国債保有額は50%以下だったが、最近は量的緩和により75%を超えている。まだ計算していないが、14年末には80~90%に達するだろう。

兌換制度時代、日銀券は金がその価値を担保していた。米連邦準備理事会(FRB)が金本位制であり、円は固定レートでドルにリンクしていたという意味で実質金本位制だった。その後、日銀券の価値は「日銀の健全なる金融政策によって担保されている」というのが日銀の公式見解となっている。

しかし国債保有額が総資産の80~90%になるなら、それは「国債本位制」になったと理解するのが正しいだろう。日銀券は国債が担保していると考えるべきで、国債が暴落すれば円の価値も日銀の信用も失墜する。その点でも日銀はルビコン川を渡ってしまったのだ。

さらにいえば、12年秋に民主、自民、公明の3党合意で特例公債法案が改正されたのは、首相が毎年代わるのはこの法律のせいだからという理由だった。修正前の特例公債法案は「赤字国債を発行して累積赤字が増えるのはとんでもないから、政府は何とか国会の理解を得て、例外的に1年だけ特別扱いで発行させてもらいなさいよ」というものだった。これも私が現役の時は、バラマキに歯止めをかける最後のとりでなのだから当然だと思っていた。

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