八方美人家計の赤字、夫婦の絆で黒字に転換家計再生コンサルタント 横山光昭

Sさんはお子さんと接している様子から優しさが伝わってくる奥様でした。その優しい人柄は、初めて家計相談に来られたときから感じ取れました。いつも丁寧で穏やかな表情のSさんは札幌在住で40代前半。ご主人は公務員で、Sさんは最近パートで働き始めたそうです。そして7歳と11歳のお子さん2人、というご家庭です。

Sさんからの相談は、「家計の診断をしてほしい」というものでした。家計簿は普段からしっかりと付けているそうで、聞かれたことに対してはすぐ答えが返ってくることから、家計の状況をきちんと把握していらっしゃるのが素晴らしいと感じたのを覚えています。家計簿は5年以上も前から付けているのだそうです。

支出を1つずつ質問しながら、家計の状況を確認。できあがった家計表をみて私は驚きました。「こんなにもしっかりと把握しているのに、なぜこんなに赤字なのか?」と感じたのです。

私は率直に「ご自分ではどうして毎月赤字になると思いますか?」と質問してみました。するとSさんは「私、クレジットカードで払っているから、買いすぎてしまうのかしら……」と答えました。

確かにそれも原因の1つではあると思います。しかし、どうも腑(ふ)に落ちませんでした。それは使い方に1つの特徴が出ていたからです。

それはまず、外食費が悩みのタネとおっしゃっていたこと。また娯楽費や被服費が高いのが嫌だけれど、家族には我慢させたくないという思い。またご主人の小遣いも少なくはなく、さらには交際費もまずまず高い……。こうした特徴から読者の皆さんは、何を感じますか?

私は、もしかするとこのSさんは、「家族からの要望にすべてこたえようとする奥さん」ではないかと思いました。詳しく話を聞いていくうちに、その傾向がより明確になりました。「おもちゃのついたハンバーガーセットが欲しい」「休日はアミューズメントパークや動物園に行きたい」「あのキャラクターのついた洋服がほしい」と子供さんにせがまれると、ついつい買ってあげてしまいます。ご主人の「今月は飲み会が多いから、追加で小遣いを1万5000円ほしい」といった要望にもこたえてあげる。そうした予期せぬ出費がかさみ、家計がパンクしているのです。

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし