NYダウの構成銘柄、値がさ株は除外
――指数委員会は指数採用銘柄の決定権を持っている。NYダウを構成する30銘柄の選び方を教えてほしい。
「指数委員会はS&P出身の3人と、ウォール・ストリート・ジャーナルの経営幹部と編集幹部の5人で構成し、年2回の会合で銘柄入れ替えを決めている。(ロンドン銀行間取引金利=LIBOR=スキャンダルの影響などで)欧州の金融監督機関から指数の透明性を高めるようにとの圧力が強まった。今は完全なルールベースで銘柄を選んでいる」
「採用基準は、まず米国の会社でS&P500の構成銘柄であること。そしてNYダウは株価平均の指数なので、値がさ株や極端に株価が安い銘柄は除いている。銘柄間の株価格差は10対1をメドとしている。なぜグーグルがNYダウの構成銘柄に入っていないのかとよく聞かれるが、それは株価が高いからだ。こうして50~70銘柄の候補を挙げる」
「最後は5人の委員が話し合ってベストの選択をする。世界の経済や株価に大きな影響を与える指数なので、ふさわしいブルーチップ(優良銘柄)でなければならない。(経営が)堅固で成長性があり、米国経済にとって重要な会社であることが必要だ。業種の偏りにも留意する。運輸や公益の会社は専門の指数があるので除く」
――日本の投資家が米国株に投資するならどんな指数を選ぶのがよいと思うか。
「できるだけ幅広い銘柄に投資して(米国や世界の)経済成長を享受するのが大切だ。そして高い手数料は運用の損失となるので、手数料は安い方がいい。その点、S&P500は幅広い銘柄をカバーし、流動性が高く取引コストも安い。株価指数連動型上場投資信託(ETF)を通じて投資するのがよい」
「今の米国株は1年前に比べてPER(株価収益率)が高く、注意が必要だ。今後2~3年のうちに10%程度の下落はあり得る。ただ、売買のタイミングを当てるのは難しいので、少し下がったからといって売るのではなく、持ち続けた方がいい。10%程度の調整なら、投資家にとっては受け入れる価値がある」
(聞き手は編集委員 北沢千秋)