競馬や宝くじ、もうけの扱いで税金大違い

「外れ馬券は経費か」という裁判が話題になりました。手に入れたお金が法律上どう分類されるかで、納める税金の額は大きく変わります。どうしてそういう仕組みになっているのでしょうか。青山学院大学の三木義一教授に聞きました。

■基本は「すべての利益に課税」

――働いて得た以外の利益にも、税がかかるのですね。

所得税が「発明」された19世紀には、課税の対象は繰り返し入ってくる利益が原則でした。不動産の売買など、偶発的なものは除いていたのです。ところが、米国では当時、不動産売買で巨万の富を得る人たちがたくさんいました。このもうけに課税されないのは、明らかに不公平ですよね。そこで、米国はこうした利益も対象にするようになりました。

国税庁は通達で馬券の払戻金を一時所得としている

日本も、戦後に米国の影響を受け、基本的にはその人が1年間に得たすべての利益に課税するという仕組みになりました。ですから、会社の給料や店の売り上げだけでなく、ギャンブルや落ちているお金を拾うなど、その場限り、あるいはまったく予期していない利益も対象なのです。

こうした偶発的な利益は「一時所得」として扱われ、サラリーマンの「給与所得」や自営業者の「事業所得」とは区別されています。毎年入ってくるものと同じように税を取るのも気の毒なので、そのお金を得るために直接必要だった費用を差し引いて、さらに半額にしたものに税率をかける仕組みになっています。

――競馬の払戻金もこれに当たるということですか。

原則ではそうです。国税庁は1970年に整備し、いまも適用している通達で、馬券の払戻金を一時所得に分類しています。競馬はふつう、利益を目的にした投資ではなくお金を払って楽しむもので、それがときどき当たるだけという考え方です。

払戻金は、建前ではもちろん課税対象ですが、申告している人はほとんどいませんでした。とはいえ、競馬でもうけ続けるのは極めて難しいですよね。所得税は本来1年ごとに計算するものです。1年を通してみれば実質的な利益はほとんどないはずですから、それほど目くじらを立てることはないというのがこれまでいわれてきたことでした。

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