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相続トラブル百科

相続トラブル防止に役立つ遺言書の追記 相続トラブル百科 実践編第7回

2012/6/19

相続トラブルは、争いが表面化して訴訟などに至るものだけではありません。表には出ない感情のしこりがいつまでも残ってしまうのも、トラブルのひとつといえるでしょう。このような際に、ぜひ知っておきたい方法があります。

相続のもめ事は、何も調停や訴訟などの公の場に出るものばかりではありません。そういったケースも確かに一定数は存在しますが、そこまでいかない場合でも、決して円満な相続と呼べないことが多いのです。たとえば、遺産の分け方そのものや、遺産を分ける過程のやりとりで、何かしら心残りが出てきたり、あるいは納得がいかない部分が残ったり、といった状況が出てくるでしょう。こういった後味の悪さが、後々になっても相続人の間でずっと残るのも、「相続トラブル」であるといえるのではないでしょうか。そのような相続人となる子供たちの間で感情のしこりを残さないためにはどうすべきか、という質問を受けることもあります。そこでぜひ知っておきたい方法として、遺言書におけるトラブル防止のためのメッセージ、つまり「付言(ふげん)」の活用をあげたいと思います。

未亡人「主人はもう10年ほども前に亡くなっていまして、長男の太郎と次男の次郎がおります。どちらも結婚しておりますが、我が家の伝来の財産は太郎に、と思ってきたんです」
「けれども、太郎は何度か結婚をしたんですが、子宝には恵まれませんでした。次郎のところは、3人の孫がおります」
「太郎は再婚をしてからというもの、何かすっかり人が変わってしまいましてねぇ。昔から心根の優しい子だったんですが、それが本当に変わっちゃって、こんな歳(とし)になって情けない思いをしています」
「だからやっぱり遺産分けは、次郎の方に重きをおいて進めていきたいような気がするんです。ただ、そうやって私が決めたとしても、あとの兄弟の仲がどうなるかが心配でしてねぇ……」

母親の心中は、おそらく次のような葛藤が生じているであろうことが想像できます。本当は、長男もかわいくて、財産も残してやりたいと思っているのでしょう。しかし、家の伝来の財産は、引き継ぎ手となる孫がいる次男に渡した方が安心できます。とはいえ、本来は心優しい長男を無視して、次男や次男方の孫だけを優遇するのはかわいそうで悩んでいる、といった状況が推察されます。

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