投資の前に自分の値段を知れ(加藤貞顕)

「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」などのヒット書籍を担当した編集者の加藤貞顕氏(現・ピースオブケイク代表取締役CEO)は、自身が投資に熱中したのをきっかけに投資をテーマにした本も複数手掛けた。分かりやすい投資の本を作り上げた末にたどりついた結論は、意外なものだった。

■「自分」は市場より思い通りになる

身も蓋もない言い方になりますが、人生の投資効率を上げようと思ったら、株や投信に投資するよりもまじめに働いた方がずっといいような気がします。僕も以前は熱心に投資をしていましたが、いまはほとんど足を洗ってしまいました。

加藤貞顕(かとう・さだあき)氏 1973年、新潟県生まれ。アスキー、ダイヤモンド社を経て2011年にピースオブケイクを設立。その他の主な担当書に「スタバではグランデを買え!」など。

僕が編集を担当した藤沢数希さんの「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」という本に、収入や年齢、職業の安定性などから「人間の値段」を概算する方法が出てきます。それに当てはめてみると、実は人間の労働の価値というのは、投資によって得られる価値よりもはるかに高いんだということに気づきます。

しかも、自分のことは自分である程度コントロールすることができますよね。市場はそうはいきません。自分が株を持っている企業の社長が突然逮捕されるかもしれないし、どこかの金融機関がつぶれて、あらゆる株が値下がりするかもしれない。そう考えれば、価値も高くて思い通りにできる「自分」に賭けるのが一番効率がいいのは明らかです。特に、僕の場合は企業の経営者であり、過半数の株を持つ投資家でもあるので、仕事をがんばるのが一番の投資になります。もちろん、ある日突然働けなくなったり、いずれ仕事を引退したりしたときに備えて、金融商品を組み合わせることも必要だとは思いますけどね。

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