休眠預金を活用し国家市民ファンド創設をコモンズ投信会長 渋沢健氏

「不本意ながら休眠預金口座をつくってみて驚いた」

今から25年ぐらい前、米国で育った私の妹が1年ほど日本の生活を経て、大学院の入学のために再び米国に戻る際に、彼女の銀行通帳と印鑑を受け取って現金のドルに換えてあげた。数万円の金額だと記憶している。その後、その通帳は自分の引き出しに入れられ、忘れられていた。

10年ぐらい前に、ふと妹の通帳を見つけたが、その銀行は他行と合併し存在していなかった。妹は米国で永住している。私が妹の預金の払い戻しを要請するために合併行の支店に足を運んでも、窓口で食らうたらい回し、妹の身元確認の手続き、云々と想像しただけで数万円を得るための労力と計算が合いそうもなく、「いつか時間の余裕ができたとき」と判断の先送りをした。

恥ずかしながら、私は「休眠預金口座」を不本意ながらつくってしまったのである。様々な家庭の事情により休眠預金が全国で発生しているとは想像していたが、先月、内閣府のブリーフィングでその総額を教えてもらったときには、その金額に驚いた。10年出し入れがなく、連絡が取れない預金口座は、日本の金融機関等では年間に約850億円が発生し、いままでの慣習では、その金額は銀行の雑収入と計上されていた。もちろん、払い戻し要求があれば、応じなければならない「預かり金」であることに違いなく、現に約350億円の払い戻しが要請される。

しかしながら、新規発生する休眠預金から払戻金を差し引いた約500億円という大金の休眠預金が毎年積み上がっている計算になる。

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毎年500億円ずつ積み上がる
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