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相続トラブル百科

意外に短い「相続放棄」までの猶予期間 相続トラブル百科 実践編第59回

2013/7/19

 故人から引き継ぐ遺産は、できれば現金や不動産などのプラスの財産だけにしたい……とは誰もが願うところですが、現実には借金の返済や連帯保証人の地位など「負の遺産」も相続の対象となります。こうした負債を免れるための手続きとして「相続放棄(そうぞくほうき)」というものが存在しており、この手続きには「3カ月」という期限がはっきりと設定されています。

 「3カ月」といえば、さすがに「数日」や「数週間」などのごく短い日数と比べて、ある程度の猶予がある単位のように思えます。一見すると、けっこう余裕のある日程なのではないか、とも思えてしまうかもしれません。とはいえ、放置しておくと故人の負債をそのまま抱え込むこととなり、取り返しのつかない状態に陥ってしまう種類の手続きでもあるということは無視できないでしょう。その意味では、時間制限としては決してゆったりしているとはいえない……というのが正直なところだと思います。

 「ほんで、親父の借金のメドって、ついたんか?」
 「それがね、いちばん取引の多かった信用金庫さんの分はだいたい分かったんやけど、やっぱりそれ以外にも結構あるみたいなんよ」
 「右肩上がりの時代は、ようさん稼いだ町工場やったのになぁ。でも結局は、そのときのイメージがずっと忘れられんで、すっかり閉め時を逃してしもうたんや。最後はほとんど親父の意地だけで続けとったみたいなもんや。借りて、借りて、また借りて、の繰り返しやろ。信用金庫だけやのうて、どこからなんぼ借りてんのか、正直わからんのとちゃうか」
 「でも、もしも工場を人手に渡さんで済むんやったら、やっぱりそれが一番やとも思うし……」
 「もうすぐ四十九日も明ける。借金をどないすんのか、はよ決めなあかん」
 「うちのダンナにも相談してみるし、もうちょっと待ってよ」
 「まあ、また今度にしよか。とはいうても、俺もまたこれから忙しなるから、あんまりちょくちょく顔は出せんぞ」

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