元興銀マンが起業した婚活ビジネス その名もIBJ

IBJと聞けば、金融の世界に長くかかわった者なら誰でも、畏敬の念や郷愁を感じることだろう。かつて日本の金融界をリードした日本興業銀行の英語名、The Industrial Bank of Japanの略称だ。海外でもIBJは有名で、欧州の証券現地法人はIBJインターナショナルと称していたほど。みずほ銀行が誕生し、IBJの名が消えて12年。興銀OBがIBJという名のベンチャー企業を立ち上げ、昨年12月、ジャスダック市場に株式を公開した。IBJの名が再び、金融・証券市場に帰ってきた。

と言っても、新生IBJは金融業ではない。ITを軸にした婚活支援ビジネスだ。IBJはIT Bridal network of Japanを略したものだ。興銀OBがなにゆえ金融ではなく、婚活ビジネスだったのか。

社長の石坂は、みずほグループにとどまらず独立の道を選んだ

社長の石坂茂(41)は1995年東大経済卒、興銀では営業7部で海運業界を担当した。「若手にどんどん仕事を任せてくれた。毎日が楽しく、電車で帰宅することはほとんどなかった」と当時を振り返る。ずっと在籍するつもりで入った興銀だったが、入行から5年目に転機が訪れる。興銀は第一勧業銀行、富士銀行との経営統合に踏み切り、石坂も人生の岐路に立たされた。みずほグループに残る道もあったが、石坂はあえて飛び出した。

みずほグループを出た興銀OBの多くは外資系金融機関、投資ファンドなど、引き続き金融の世界に身を置いたが、石坂は起業の道を選んだ。ITを志向した理由は「仕入れや在庫と無縁のビジネスだから」。その一方で情報という見えない商品を売るビジネスの難しさも認識していた。

マネー、不動産、人材派遣などのITビジネスは先行ランナーがいる。まだ開拓余地が大きく、自分の強みを生かせる分野はないか。石坂は学生時代からイベントが好きで、興銀時代も合コンのセッティングが得意だった。まだ婚活という言葉もない時代だったが、結婚に関する情報サービスならいけるのではと考えた。

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