誰も住まない家だから厄介 相続人迷わす売却価格相続トラブル百科 実践編第92回

誰も住まない家を相続したとき、売却を検討することは珍しくありません。ところが相続人全員が売却で一致しているのに、なおトラブルが発生するケースがあるから不思議です。よくあるケースとしては、「もっと高く売れると思ってたのに」という「売値への期待」と、現実的に「これぐらいで買いたいんですが」と出された「買値への失望」とのズレが、摩擦を生じさせます。

いとこA「亡くなった叔父さんの家、地元のなんとかハウジングさんが買いたいと言ってきてから、もう3カ月たつわよね。どうして売る準備が進まないの?」
いとこB「なんかね、出された値段ではCちゃんが首を縦に振らないんだって。それよりさ、私たちCちゃんを怒らせるようなことしたっけ。だから印鑑を押してくれないなんてことになっているのかな」
いとこA「私たち別に何もしてないでしょ。でもなんで、あんな誰も住むつもりもない古い家なのに、売るのに消極的なのかしらね」
いとこB「最後まで独身貴族を貫いた叔父さんだったから、誰にも気をつかわずに売ってしまってもいいのにね」
いとこA「相続人の私たち3人さえ納得していれば、それで大丈夫なんでしょ。Cちゃん本人は仕事が忙しいのか、全然連絡がとれないし……。こっちは争う気もないのに、困っちゃうわよねぇ」

以前『急増する「おひとりさま相続」が直面する現実』で紹介したように、独身のまま亡くなったおじやおばがいると、おいやめいが相続人になるケースが登場します。

遺産の中に、当事者が居住する可能性の低い不動産も

先ほどの会話のように「独身のおじやおばが住んでいた自宅」を相続するケースでは、相続人が同居していないことがあります。「引き続いて居住する必要性の乏しい不動産」の代表例だといえるでしょう。おい・めいによる相続以外にも、遺産の中に当事者たちが居住する可能性の低い不動産が含まれていることは珍しくありません。

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