相続で一番もめるのは遺産2000万円程度相続トラブル百科 第1回

では、資産の多い方は、相続でもめない、いわゆる「金持ちけんかせず」なのか。現実は必ずしもそうではありません。もう一度、さきほどの裁判所の資料を見てみましょう。統計では遺産5000万~1億円の層のトラブルが14.3%、1億~5億円が7.7%、5億円超が0.6%です。合計すると遺産5000万円以上のトラブルは全体の22.6%となります。

総務省と国税庁の資料によれば、平成19年の1年間に亡くなった方は、110万8334人。このうち遺産の相続税の申告があった方は4万6820人です。単純に考えると、亡くなった方のうち、4.2%の方が相続税の申告対象となる財産を保有していたことになります。平成19年当時、相続税が非課税となる基礎控除額として5000万円の枠が設定されていました。遺産が5000万円を超えなければ、相続税の対象とはなりません。

つまり、5000万円以上の遺産を受け継いだ方の割合は4.2%ですが、裁判までのトラブルに発展したケースは22.6%です。もちろん完全に連動する数字ではないですが、遺産5000万円以上の層でも、トラブルは決して少なくないといえるのです。

というわけで、「遺産相続争いなんて、一部のお金持ちの話なのでしょう?」というご質問には、「いいえ、一部のお金持ちの話ではないですよ。たとえ数百万円というレベルでも、争いは起きます。家庭裁判所でいちばん多いのは、むしろ1000万~5000万円の層です」というのが答えです。だからといって一部のお金持ちがトラブルを免れるという話でもありません。お金持ちはお金持ちなりに、裁判所にお世話になるリスクは低くないのです。

「司法書士が見た 相続トラブル百科」の更新日が7月から毎週金曜日に変わります。
川原田慶太(かわらだ・けいた)
1976年大阪生まれ。司法書士・宅地建物取引主任者。2001年3月、京都大学法学部卒。在学中に司法書士試験合格。02年10月、かわらだ司法書士事務所開設。05年5月、司法書士法人おおさか法務事務所代表社員就任。資産運用や資産相続などのセミナー講師を多数歴任。
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