マイホーム 買った瞬間、価値ゼロへまっしぐら不動産コンサルタント・長嶋修

未来の住宅市場の話をする前に、まずは現状を説明しておきたい。一言でいえば日本の住宅市場はいまだ「新興国モデル」だ。欧米から見れば、不動産投資信託(REIT)やファンドに組み込まれるオフィスビルなどは、指標も整備され投資しやすいが、一般的な住宅は怖くて手を出せないだろう。

時間とともに価値が増す欧米住宅

欧米など他の先進国では、中古住宅の価値が一律に下落していくといった常識はなく、むしろ逆である。例えば一団の分譲地であれば、新築分譲時から時間の経過によって木々が生えそろい、街並みやコミュニティーが形成され、小学校などの学区の様子も確定するといった状況のなか、徐々に価値形成がなされていく。

建物については、築20年や25年で価値がゼロになるなど誰も考えておらず、所有者は建物を大事にし、必要に応じて点検や補修、リフォームなどを行うことで価値の維持ないしは向上に努める。補修やリノベーションを行う際にはもちろん、効率的に価値維持・向上が可能となる部位や箇所を吟味、その履歴をデータとしてしっかり保管しておく。

築25年で価値ゼロに

一方、日本では買ったそばからとにかく価値ゼロに向かってまっしぐら。築25年などで売り出されている中古住宅は土地値でしかない。ひどいものになると、建物が建っているにもかかわらず、あくまで「土地」として売りに出され、備考欄には小さく「古家あり」などと記載されている。このケースでは土地値どころか、建物の解体費を差し引いた価格づけが行われる。

住宅ローンの支払いは30年や35年もの長きにわたり、ローン元金と金利をせっせと返済し続けなければならないが、このとき、建物の価値も同時に減価する。つまり「住宅ローン元金と建物価値が目減り競争している」というのが中古住宅市場の真相だ。

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