マイホーム 買った瞬間、価値ゼロへまっしぐら不動産コンサルタント・長嶋修

建物の価値と法定耐用年数は連動せず

建物の価値がドンドン下落することについては「法定耐用年数が決まっているからだ」としばしば言われる。一般的な木造住宅の法定耐用年数は22年、RC(鉄筋コンクリート)で47年だが、この年数を目安として価値が下落していくというわけだ。

しかし例えばアメリカの場合、構造にかかわらず法定耐用年数は27.5年だが、中古住宅になっても価値が落ちない市場が形成されている。

そもそも法定耐用年数というのは、「この期間で案分して費用計上してくださいね」という、減価償却としての税法上の意味しかないのだ。もっともマイホーム購入で建物について費用計上し納税額を減らすことはできないのだが、いずれにせよ建物の価値と税法上の法定耐用年数は連動するものではない。

原因は中古住宅市場の未整備

他にも「日本の家は木と紙でできているから」「日本は地震国だから」など、もっともらしい理由がある。ならばそれに合わせて価格形成されればよいはず。本当は「中古住宅市場の整備を怠ってきたから」という、身も蓋もない理由なのだ。

日本は「住宅データベース」が貧弱だ。宅建業者はレインズ(REINS=不動産流通機構)でつながっており、売り物件や成約物件情報を閲覧できる。しかしその情報の中身は、広告で目にする面積や間取り、築年数など最低限の情報でしかない。さらに、取引の時点で中古住宅のコンディションを見極めるホームインスペクション(住宅診断)を行うといった慣行もなかった。

金融機関はといえば、住宅ローンを融資するにあたり、現地を確認することはない。住宅地図や販売図面など机上の、しかも貧弱なデータだけで機械的に判断するのみ。そしてその機械的な判断は20~25年でゼロということにしましょうと、これもなんとなく決まっている。

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