親孝行にも税金が 一筋縄でいかぬ相続税第8回 相続税エトセトラ

生活費の仕送り増額か

――なんだか切ない話です。親孝行な子供の負担増を避けるには、どうしたらいいのでしょうか。

「いわゆる“抜け道”のようなものはありません。高齢の親が住みやすいよう、家を改修してあげたいという気持ちはやまやまでも、家の改修費はあくまで親の現預金から負担してもらい、子供は年間110万円の基礎控除の範囲内でお金を渡す。また、日々の生活費の援助は贈与税の対象にならないので、親への仕送りを増やすという形で親孝行するのがいいでしょう」

――例えば、リフォーム費用を親に貸し付けたということにして、子供が負担するとどうなるのでしょう。

「親子間で借用書を作って、親から子へ返済している証拠があれば、贈与財産とは見なされません。実は、税金のことをちゃんと考えている人の多くは、この方法をとっています。ただその場合、子供の銀行口座からいったん、親の口座にお金を移して、親の口座からリフォーム会社へ支払いをしましょう。よくありがちなんですが、子供の口座から直接、リフォーム会社へ支払われて、リフォーム会社が子供の名前で領収書を切っているケースです。これだと、貸し付けとは見なされない可能性があります」

土地の評価額を引き下げる特例の使い勝手

――親孝行するにもいろいろ注意が必要なんですね。ところで、先ほど相続財産のほとんどが不動産という例が増えているとおっしゃいましたが、「小規模宅地の特例」(図参照)を使えば、相続税が軽減されますよね。

「小規模宅地等の特例が適用されるには条件がありますが、条件に合えば、土地の評価額が8割減額されます。来年から特例が適用される宅地の限度面積が330平方メートルに拡大するほか、今年からこれまで適用されるかどうか微妙だった完全別居型の二世帯住宅でも特例が使えるようになりました。これまでは、玄関などが別々で内部がつながっていない二世帯住宅は同居とはみなされなかったのですが、今年からは特例の対象になりました」

――8割減額というのは大きいです。でも、いろいろ条件があるようですね。

「小規模宅地等の特例が無条件で適用されるのは、基本的には相続する人が配偶者、同居親族の場合です。また、誰も同居していなくても、自分で家を買っていなければ対象になります。いわゆる『家なき子の特例』です。逆にいうと、持ち家がある人には適用されないんです」

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