親孝行にも税金が 一筋縄でいかぬ相続税第8回 相続税エトセトラ

――なるほど、相続の現場は机上の計算通りとはいかないんですね。最近、相続で山田さんが気になっていることはありますか。

「最近よくあるケースなんですが、贈与の事例なんですよね」

――相続ではなく贈与?

「贈与税というのは相続税の脱法を防ぐためにできた税なので、贈与税は相続税法で規定されているんですよ」

親を援助、の落とし穴

公認会計士・税理士の山田真哉さん

――なるほど…。どのような例だったのですか。

「子供が親の家をバリアフリーに改築してあげるために、約800万円出したんです。実はこの800万円は贈与税の対象になります。親子に悪気はなく、贈与税の申告が必要だということを知らなかったのですが、しばらくして、親が亡くなり、相続税の申告のときになって、過去の贈与税を子供が支払わなければならないと指摘されたのです。贈与税には6年、7年と時効がありますが、親御さんは時効前に亡くなってしまったんです」

――先ほど、贈与税は相続税の脱法を防ぐためとおっしゃいましたが、子供から親への援助も贈与税の対象になるわけですね。

「もちろんなります。贈与税の基礎控除額の年間110万円を超えると贈与税が発生します。贈与税を負担するのは贈与を受けた側なので、このケースは贈与税が未納のまま親が亡くなり、納税義務を子供が相続したことになります」

「今後はバリアフリー改築によって建物の価値も上がるようになります。そうなると、贈与税の負担だけでなく、相続税自体も増えます。子供の負担は二重になり、結果的に、『親孝行な子供ほど損をする』ことになってしまいます。親孝行にも税金をとるってちょっと変な感じですよね。でも、相続税法上は仕方ないんです」

近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし
注目記事
次のページ
生活費の仕送り増額か
近づくキャッシュレス社会
ビジネスパーソンの住まいと暮らし