相続増税に負けない贈与 手続き代行に注目相続トラブル百科 実践編第108回

相続増税に備え、生前贈与を活用して次世代に資産を移転したいというニーズが高まっています。しかし、贈与の手続きには注意点が少なくありません。そんな局面を支援する新サービスが考案され、販売が始まったのもうなずけます。

相続税への備えとして「現金の生前贈与がシンプルかつ効果的な対策」といった話は各所で言及されています。もちろん贈与税の問題がつきまといますが、年間110万円までの非課税枠を利用するなど、負担の少ない形で資産承継を求める動きが活発です。

ただ、生前贈与を成立させるには、ただ単にお金を移せばよい、といった単純な話では済みません。安易な贈与によるトラブルとしては「相続税を気にしすぎて過剰に贈与してしまい、老後の必要資金が不足した」など適正な贈与金額の問題があります。

形式的な贈与で安心すると未成立のリスクも

当事者にとって都合よく解釈した形式的な贈与で安心してしまい、相続発生後の税務調査で贈与を否認されるなど、贈与が成立しないリスクもあります。

とくに後者については、「贈与の事実を書面に残す」「後日に捏造(ねつぞう)した書類でないことを示すため、公的機関に依頼して日付を入れてもらう」「通帳などに記録が残るように贈与を行う」「同時期、同額の贈与は避ける」「お金の管理は贈与した側ではなく、もらった側がする」などの点をクリアしなければ、贈与が成立していないとみなされる場合が出てきます。

しかし、細かい注意点をすべて守るのは簡単ではありません。実務に不慣れな人は誤解しやすく、不安になりがちでしょう。かといって少額の現金を贈与するのに、いちいち専門家を雇って手続きしてもらうのも大仰だと思うかもしれません。

そこで最近は「贈与しておきたい、でも進め方がちょっと……」といった贈与不安に対応するサービスが、信託の形で注目されています。

通常、贈与は当事者である「あげる人」と「もらう人」だけで進められます。信託を使う場合、そこに第三者である「託される人」が登場します。第三者の関与によって、当事者をフォローしながら適切な形で贈与を進める手法が登場してきました。

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