「保険なんて必要ない」 CMにみるお金の心理学保険コンサルタント 後田亨

「そろそろ医療保険に入ろうと思って」「必要ない! 必要ない! 病気になったときのことなんて、なってから考えればいいよ!」。デートの場でパンフレットを取り出す男性の前に、ブラックスワンという黒い鳥が現れて邪魔をする――。こんな保険会社のCMをテレビで目にした方も多いのではないでしょうか。私はこれを見て「いままでの保険の広告にはなかった手法かもしれない」と感じました。ブラックスワンが加入を促すのではなく、止めに入るところが新しいと思うのです。

この保険会社のホームページのCMギャラリーによると、ブラックスワンの発言は「つい保険について考えることを先延ばしにしてしまう、特に若い世代の本音を象徴している」そうです。CMでは冒頭のシーンの後、同社でお馴染みのキャラクターである白いアヒルが登場し、ブラックスワンを追い払います。その場面には「心の奥に潜むブラックスワンのような思いを断ち切り、たくさんの人達に保険の大切さに気付いてもらいたいという思いを込めた」という説明でした。

確かに、そう言われてみればそんな意図をくむこともできる内容だと思います。しかし私には、ブラックスワンもやはり医療保険への加入を促しているように感じられます。「必要ない! 必要ない!」という言葉の裏に、「いつまでも医療保険を無視していられますか?」「それで本当に安心できますか?」という問いが透けて見える気がするのです。

私は物事を「見たまま」ではなく、自分なりに読んでみるのが好きなので、以下はあくまで「解釈」であることをお断りして書きます。このCMでは入院時のお金の問題など、消費者が人生における負の局面を想像する際の心の動きが想定されているように思います。

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