マネー研究所

カリスマの直言

「ここが変だよ日本の投資信託」  松井証券社長・松井道夫氏

2012/6/7

「価格競争がほとんどなく供給者側の膨大な手数料収益源となっているのが日本の投信」

 世界初の投資信託は、明治元年にあたる1868年に設定された英国のフォーリン・アンド・コロニアル・インベストメント・トラストといわれている。サイトでは、現在も継続して運用中とあるから、驚きであるが、かの地ではしごく当たり前らしい。投信はその後、米国に渡り大いに発展した。

 日本では、戦後の銀証分離政策から、投信は証券の分野となり、証券会社が販売を、その子会社たる投信会社が運用を担うという形で発展していった。バブル崩壊までは、右肩上がりの相場もあって、運用実績はマズマズだったが、崩壊後は、惨憺(さんたん)たる結果となっているのは御存じの通り。それだけなら相場の話で済むのだが、そうでないのが日本の投信だ。

■タコ配が花盛り

 結論をまず最初に言う。日本の投信は一体誰のためのものか。

 投資家のためではない。売り手である証券、銀行のためのものだ。

 投資家の手元に残ったのは膨大な運用損であり、証券会社には相場の浮き沈みとは無関係に膨大な手数料が転がり込んできた。銀証分離は既に修正され、銀行窓販もあるから、証券会社だけではないのだが、本来、新規参入があれば必ず生じる価格(手数料)競争もほとんどなく、供給者側の膨大な手数料収益源となっているのが日本の投信だ。

 実際、この10年間で目立って残高が増えた金融資産は投信で、なかでも株式投信については、15兆円が50兆円と3倍以上にもなっている。外貨建て資産の拡大が大きく、分配型の投信が大半を占めている。運用益の範囲内で分配金が支払われているのであればいいのだが、資産を取り崩して分配するタコ足配当が実は多い。この10年間で株式投信への資金純流入額は約60兆円だが、運用損益のマイナス分と分配金の合計、すなわち目減り分は25兆円になる。内訳は分からないが、仮に分配金が全てであっても、手数料を払った上で、投資したお金を自ら引き出していたことになる。

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL