デイトレーダーが証券会社の自己売買部門や、外国人機関投資家などと超短期売買で競う際、最もネックになるのは資金面でのハンディ。証券会社の自己売買の場合、差金決済が認められている。ある銘柄を売ったり買ったり、一日何回繰り返しても、その決済に必要な資金は売り買いの差額に限られる。一方で、個人投資家が同じ取引をしたら、買い付け代金の総額が必要となる。これでは資金効率の面で雲泥の差が生じる。

即時決済取引「松井のアレ」の種明かし

そこで、個人のデイトレーダーが、証券会社の自己売買部門と同じように売買できる方法は何かないかと考えた。頭に浮かんだのは決済の仕組みである。現在の四日目決済という仕組みに代えて、即時決済ができればそれが可能となる。資金の効率を上げるため、デイトレードの大半は信用取引だ。即時決済と信用取引をセットにした仕組みでなければ意味がない。PTS(私設取引システム)では信用取引ができない。取引所取引には立会内と立会外があるが、立会内の決済は四日目決済だから無理。ならば、立会外を使って即時決済を実現できないか。そこで、大阪証券取引所の立会外取引を利用して新たな取引の場を創ることにした。

即時決済取引の名称は「松井のアレ」とした。新聞広告などでごらんになった方もおられるだろう。「松井のアレ」は東京証券取引所の株価で取引する。手数料は、信用取引については全て無料、現物取引でも、一日100万円以内なら無料とした。これで手数料競争に終止符を打つつもりでいる。

収入がゼロでは商売にならないので、代わりに信用取引の金利を日歩2銭、年利7.3%に設定した。デイトレードが主対象だから、例えば100万円の融資で一日200円の金利となる。銘柄によっては株価が一日に数%、すなわち数百ベーシス動くわけだから、手数料無しの金利分2ベーシスが高いか安いかは顧客が判断することだが、取引コストの面でもデイトレードに十分考慮したつもりだ。現物取引は金利がないから、一日100万円以内の取引なら、松井の手数料収入はゼロだが、流動性を厚くするためと割り切った。これまでの10万円以下なら無料というものとは使い勝手が格段に違うはずだ。

要するに、「松井のアレ」で、手数料ビジネスから決済・信用供与ビジネスへと戦略的にシフトすることを決めたのである。

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