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相続トラブル百科

「すべてを相続・放棄」ではない第3の選択肢 相続トラブル百科 実践編第61回

2013/8/2

 故人の遺産の大半が借金であり、とても相続できたものではない……。そうした場合、相続発生時から3カ月以内に相続放棄の旨を家庭裁判所へ申し立てすれば、借金を引き継ぐ必要がなくなるということは前回までにお伝えしてきたとおりです。しかし、それはあくまでマイナス財産が多いという判断がつけられた場合の話です。

 なかにはそのような判断が非常に難しいケースもあります。例えば亡くなった父親の財産の内容がいくら調べてもよくわからないとか、あるいはプラス財産とマイナス財産のどちらが多いのか見当がつかないといったケースです。こうした場合には、手続きとしてはどのような選択肢があるのでしょうか。

 人が亡くなって相続が生じた場合に、残された相続人としてとることができる方法は、民法の上では3つ認められています。一般的に多いケースでは、残された財産をすべて承継して、返済すべき負債などがあればそれも精算し、それからプラスの財産をどう分けるかを話し合っていくことになります。このような引き継ぎ方を、法律用語では「単純承認(たんじゅんしょうにん)」と呼んでいます。プラスもマイナスも、故人の遺産はすべて相続人が引き継ぐというやり方です。

 一方で借金が多く相続したくないような場合には、相続人となる地位そのものを放棄して財産の承継をしないという7月19日付「意外に短い『相続放棄』までの猶予期間」や同26日付「3カ月以内に決断 相続放棄は待ってくれない」でみてきたような相続放棄の手続きがとられることになります。プラスもマイナスも、故人の遺産は一切引き継がないというやり方です。

 そして、すべてを相続するのでもなく、すべてを放棄するのでもない「第3の方法」があります。亡くなった人の財産の全容を調べようにも調査しようのない場合や、財産のプラス部分とマイナス部分のどちらが大きくなるかわからないというような場合には、3つ目の方法である「限定承認(げんていしょうにん)」という手続きをとることができます。相続放棄に比べると利用されることの少ない手続きではありますが、今回はこの限定承認という、あまり聞いたことがない手続きについて簡単に確認していきたいと思います。

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