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保険の新常識

「葬式代は保険で」が賢い備えとは限らない 保険コンサルタント 後田亨

2013/7/3

 「お葬式代くらいは準備しておけるように、保険へのご加入を検討されてはいかがでしょうか」。こんなふうに保険会社の営業担当者や代理店から勧められた、という話を聞くことがあります。年収の何年分もの大型死亡保障はいらないと考える主婦や独身者が主な対象のようです。

 提案される商品の大半は、一生涯の保障がある終身保険です。加入者がいつ亡くなっても保険金が支払われる保険なので、確かに葬式代などを家族に残したい人には向いているでしょう。

 また保険料を投資信託などで積極的に運用する「変額終身保険」の利用が勧められるケースもあります。運用実績により保険金と、解約時に払い戻されるお金の額が文字通り変動する保険です。死亡保険金については最低保証があり、保険料も相対的に安いので、これも理解できる選択肢です。

 葬式代を保険で準備しようとする理由の一つとして、相続手続きが終わるまで死亡した人の預金口座が凍結されることが挙げられます。急ぎの資金が必要な場合、厄介な仕組みです。その点、保険で備えておけば万が一のときの請求も比較的楽です。法定相続人が受け取る場合は、保険金500万円まで税金もかかりません。

 確かにこうした保険のメリットは知っておきたいところです。ただ、誰もが葬式代を保険で準備する必要はないと思います。理由は主に2つあります。

 まず葬式代の優先度がそんなに高いのか、という点です。例えば20代の社会人が自らの葬式代を保険で準備するよう勧められて加入することを想像すると、私は理屈抜きに違和感があります。価値観は人それぞれですから大きなお世話には違いありませんが、「もっとほかにお金を使うべきことがあるのでは?」と思うのです。

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