「生涯保障」の保険はいらない保険コンサルタント 後田亨

「一生涯の保障」にこだわるのは間違いではないか? 近年、私の中で明確になってきた考え方です。

「とりあえず10年間の保障があります」「一生涯の保障があります」――。「医療保険」や「がん保険」の分野で、お客様に、保障期間が違う2種類の保険を提示すると、後者のほうが好まれます。

「加齢とともに保険のお世話になる機会も増えそうだから、10年間の保障では不安が残る。それに10年後も同じ契約を続けたい場合には保険料も高くなってしまう。であれば最初から一生涯の保障がある保険に入っておいたほうが安心だ」というわけです。実際、「医療保険」や「がん保険」を看板にしている保険会社の中に、向こう10年間の保障を売る商品をラインアップしていない会社があるのも事実です。

「一定期間の入院などに備えられたらいい。10年でも長過ぎるくらいだ」とおっしゃるお客様が多数派であれば、こうした状況にはなっていないのではないかと推察します。

「より多くのお客様が求めている商品を提供する。それでいいではないか」という声もあるかもしれません。しかし、私は「それでは良くないのではないか」と感じます。お客様に「求められているもの」が、「本来、求めないほうがいいもの」である可能性もあるはずだからです。

私が「一生涯の保障」を求めないほうがいいと考える理由は単純です。この連載の2回目に書いた宝クジや競馬のたとえを思い出してください。保険の利用は、子供が自立するまでの間の世帯主の急死に備えるくらいで構わない、と書いています。あれもこれもとクジを買うのではなく、限定的な利用をすすめているのは、保険活用の「幅」「ひろがり」を意識してのことです。

今回はそれを「時間軸」に置き換えて考えます。視界を左右に広げるのではなく、地平線や水平線の向こうまで見ようとするイメージです。

するとこのように考えられないでしょうか? 死亡だけでなく、医療などにも備えて様々なクジを「広く買う」のが間違いであるとしたら、一定期間ではなく一生涯といった具合に「長く買う」のも問題ではないかと。「たくさんのクジを買う」ことと「いつまでもクジを買う」ことは、意外に似ていると思うわけです。

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