マネー研究所

相続トラブル百科

教育資金贈与、透明性と手軽さに潜むワナ 相続トラブル百科 実践編第99回

2014/5/2

2013年から始まった「教育資金贈与」の非課税制度に関連した金融商品の売れ行きが好調です。贈与税の観点からみると、非常に「お得感」の強い制度です。しかし相続という別の角度からは違う風景がみえるため、注意が必要です。

一定の要件を満たせば、いったん「非課税」の形で一気に「1500万円」まで子や孫に教育資金を移動できる――。昨年4月にスタートした税制改正の目玉政策のひとつです。制度の背景には、シニア世代から若年層への資産移転を促進する狙いがあります。初年度の13年度は当初予測をはるかに超えるペースで利用が進みました。

今回の制度は13年4月~15年12月末までの期間限定措置としてスタートしており、当初の利用見込みは3年弱の期間中に5万4000件程度だろう、との想定でした。年換算すれば2万件弱の計算です。ところが初年度で6万5000件もの契約数に達しました。全期間分をわずか1年で突破したわけです。

制度のメリット・デメリットはスタート前から盛んに議論されました。主なメリットは「高額の資金移動がいったん非課税で行える」「移動した資金は相続税の対象とならない場合がある」などが挙げられるでしょう。一方、デメリットは「残った資金や教育関連に使わなかった資金に、後日贈与税が課税される場合がある」「預けた教育資金の払い出しが少々煩雑である」などがあります。

ほかにも「相続」の視点からみた注意点がいくつかあります。その中から2点ほど取り上げます。いずれもメリットのように思えるのですが、裏腹に難点を抱えるケースが出てくるのが特徴でしょう。

【注意点1】高い透明性、バランス欠いた贈与がトラブルの原因に

今回の教育資金贈与の非課税制度は、当然ながら国への届け出のもとに真正面から資金を移動させる形です。グレーな手続きやテクニカルな離れ業を駆使する必要はなく、決まった通りに手続きすればよいという前提です。

資金管理には銀行や信託銀行、証券会社などが関与する設計です。「いくらもらったか」「どのように使ったか」などの情報は、贈与の当事者だけでやりとりするのではなく、関与する金融機関などの第三者がきちんと記録し、税務署など誰の目にも明らかなように整えられる前提です。

要するに「第三者を介して資金を厳正に管理する代わりに、贈与税の非課税という特典を受けられる」側面があるといえるでしょう。つまり「きちんとするからトクをする」構図です。

しかし「トクをする」可能性が出てくるのは、あくまで税金上の話です。それ以外でも絶対に「トクをする」のかといえば、必ずしもそうではありません。例えば「特別受益」の問題です。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL