旅行・レジャー

日本の歩き方

「博多時間」「沖縄時間」って? 訪問先への礼儀

2014/5/17

時間の流れは人や地域によってさまざま

「かつて沖縄本島北西部にある伊平屋島(いへやじま)に民俗調査のため訪ねた際、現地の方の集まりに午後7時に参加することになった。10分前に集合場所に到着したところ誰もおらず、数十分たっても来ない。不安になって参加者の家に行ったら、なんと入浴中。全員が集まったのは午後9時を過ぎた頃だった」

白川教授によると、島民にとって午後7時も午後9時も同じ「夜」。わざと時間に遅れるといった博多時間の概念とやや異なり、現地では時間そのものを大ざっぱに捉えているようだ。宮崎にも同様の感覚を示す「日向時間」があるという。

九州・沖縄県民はのんびり屋・楽天家が多い
問い:のんびりしている方だ
順位都道府県回答率
1位宮崎県93.1
2位沖縄県87.0
3位静岡県85.1
4位鹿児島県81.8
4位北海道81.8
6位三重県78.0
7位岩手県77.4
8位山形県76.5
9位愛媛県76.0
10位秋田県75.2

問い:楽天的な方だ
順位都道府県回答率
1位沖縄県81.0
2位宮崎県79.2
3位高知県77.2
4位大阪府70.0
5位北海道66.7
6位鹿児島県62.6
7位福岡県62.0
8位静岡県57.4
9位大分県52.9
10位長崎県51.5

(注)問いに対して「あてはまる」「まああてはまる」と回答した割合の合計、%、リクルート調べ

こうした時間感覚は県民性に表れているかもしれない。リクルートが全国の20~69歳の男女約6400人を対象に行ったアンケート調査(有効回答数約4600人)によると、「のんびりしている方だ」との問いに当てはまると答えた県民は宮崎が93.1%で1位。2位が沖縄(87.0%)、4位が鹿児島(81.8%)と続いた。

「楽天的な方だ」という問いについては、沖縄の81.0%を筆頭に、上位10に福岡など九州・沖縄の6県が入った。半面、「きちょうめんな方だ」との問いの場合、上位10位内に九州・沖縄は入っていない。

こうした「ご当地時間」はいつごろ誕生し、広まったのか。博多時間の場合、白川教授は「近世の博多商人時代からの名残だが、言葉自体は近代以降に誕生した」とみる。波平さんは「言葉が生まれたのは『支店経済』として福岡市の存在感が増した40年前ぐらい。博多時間は東京からの転勤族など外部の人間が言い始めた言葉」と話す。

大企業の拠点で潤う支店経済の街は全国にいくつもある。博多にこうした時間感覚が根付いたのは古くからの伝統や風習、文化が今なお色濃く残っていることも背景にあるという。「博多などではしめ飾りを旧正月まで飾るなどの旧暦文化を大事にしており、博多時間の習慣も失われなかった。九州・沖縄の多くの地域でも旧暦文化が残っている」(白川教授)

明治以降、鉄道や時計の普及で時間を守る意識が国民に広く浸透したが、それ以前の日本人は時間におおらかだったとされる。九州・沖縄に独自の時間感覚を示す言葉が多く存在するのは、昔からの文化や伝統が多く残っていることの証しかもしれない。

(西部支社 後藤伸太郎)

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