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「博多時間」「沖縄時間」って? 訪問先への礼儀

2014/5/17

「博多時間」や「薩摩時間」「沖縄時間」――。九州・沖縄には独特の時間感覚を表す言葉が存在する。宴会や待ち合わせに遅れて来る地元の人を皮肉る言葉としても使われるが、本来はどんな意味があるのか。なぜ九州・沖縄にはこうした言葉がある地域が多いのだろう。取材してみると、相手を思いやる商都の伝統や県民性が浮かび上がってきた。
多くの飲食店が集まる中洲(福岡市博多区)

福岡市で開かれた飲み会。集合時間は午後7時なのに、参加者は遅れて三々五々集まり、1時間後に来た人もいた――。博多時間を象徴する例として、宴会の際に時間通りに集まらないことを挙げる人は多い。こうした習慣が広く伝わり、今では博多時間とはルーズな時間感覚の意味だと理解されることが多い。約束に遅れた際に「博多時間ですいません」などと謝る人もいる。

福岡県出身で元日本文化人類学会会長の波平恵美子さん(71)は「博多時間には本来もっと深い意味合いがあり、意味を取り違えている人が少なくない」と指摘する。

商売第一の博多商人の家を訪ねる時、約束の時間より前に行くと、ギリギリまで客の迎え入れ準備をしている相手に迷惑をかける。「ちょっと遅れて行くのが礼儀として博多時間が定着した。宴席などでは、特に立場が上の人にみられる習慣」(波平さん)

ただ、博多時間は全ての会合に当てはまらないという。博多でも、取引先との打ち合わせなど仕事に関することや、結婚式など半ば公的な行事の時には時間通りに集まるのが一般的。一方で、私的な行事の際にはわざと約束時間に遅れて行く習慣が根付いたとされる。

宴会などに遅れる風習は九州の他の地域にもみられる。鹿児島県奄美大島出身の民俗学者、鹿児島国際大学の山下欣一名誉教授(85)は「薩摩時間の場合、プライベートな飲み会などを開く時には、大まかな集合時間を決め、都合の良い時間に集まってくる」と話す。

ご当地では1~2時間の遅れには寛容で、参加者が遅れて到着する度に、乾杯を繰り返して盛り上がる光景が県内の居酒屋などでみられる。一方、こちらでもオフィシャルな行事には遅刻しない文化らしい。

博多・薩摩時間と並んで広く知られているのが沖縄時間だ。西日本の民俗文化に詳しい福岡大学の白川琢磨教授(61)がこんなエピソードを紹介してくれた。

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