一部の池については「誤って子供が落ちてしまうといった心配や、水が汚れて臭いといった不満もある」(大阪府環境農林水産部)という。府内の農業の経営環境が厳しくなるなか、改めてその役割が問われている。
熊取町の長池の取り組みが参考になる。府や町、農業関係の組合、自治会などが協力し、ごみが多かった池を樹木や花であふれる「オアシス」に再生した。周囲に貸農園を整備し、収益を地域の活性化などにつなげている。
ためた水を防火用水として使ったり、魚や虫、植物などの生き物に着目して、環境教育の場に活用したりしている。ほかにも様々な試みがあり、府もこうした活動を支援している。
府内には、水草が生い茂り、フナや昆虫が生息するため池が多い。興味を持って調べてみると思わぬ発見があるかもしれない。時間が空いたときなど、最寄りの池に足を運んでみてはどうだろうか。
(大阪経済部 生川暁)
[日本経済新聞大阪夕刊オムニス関西2011年5月11日付]