府 県 | ため池の数 | ため池の密 度(1平方 キロメートル あたりの数) |
---|---|---|
兵庫県 | 43,321 | 5.2 |
広島県 | 20,183 | 2.4 |
香川県 | 14,619 | 7.8 |
大阪府 | 11,102 | 5.8 |
山口県 | 10,636 | 1.7 |
岡山県 | 9,802 | 1.4 |
(注)大阪府の資料を基に作成、2010年4月時点
瀬戸内気候の大阪は当時も降水量が少なく、コメづくりに使う水の確保は最も重要な課題だったようだ。泉北丘陵と羽曳野丘陵に挟まれたこの場所で西除川をせき止めた池が始まりだ。
府立狭山池博物館の小山田宏一学芸員は「成り立ちには、飛鳥時代の東アジアの外交や政治も関係している」と指摘する。最先端の技術と知識を朝鮮半島の百済から導入し、建設したからだ。ブナ科のアラガシなどの枝葉を敷き並べて土を積み重ねる「敷葉工法」が一例だ。
その後も歴史上の著名人によって改修を繰り返していく。奈良時代に僧侶の行基、鎌倉時代に東大寺再建で知られる僧侶の重源、江戸時代初めに豊臣家に仕えた武将の片桐且元がそれぞれ手掛けた。時代が移り変わっても、農業用水の必要性は揺るがなかったことを感じさせる。
大阪府内の他の地域も南部を中心に建設が相次いだ。奈良時代の行基が手掛けた岸和田市の久米田池、室町時代に築造された熊取町の長池などが知られている。現存するものは江戸時代に建設したものが多い。雨の少ない気候に加え、水量が豊かな河川が多くなかったことも徐々に増えていった背景にある。
大阪府内のため池数は都道府県で4位。1平方キロメートルあたりの数を示す「ため池密度」は5.8カ所と、香川県に次いで全国2位にあたる。宅地化が進んだ地域が多いだけに、共存できるまちづくりが重要になる。